教員以外の方法で、教育を変える仕事をするには?

樋口彩乃 プロフィール

株式会社Barbarian/代表取締役
一般社団法人ユースキャリア教育機構理事

1998年生まれ。

高校生時代からビジネスに関心をもち、大学1年生から、シリコンバレーで投資家相手に事業ピッチなどを行う。

大学2年生より教育事業に携わり、現在は、「世の中の当たり前を更新する」をビジョンに代表を務めている株式会社にて、都の教育委員会や学校法人と連携しPBL型のプロジェクト学習の普及を行っている。

たくさんの教育活動や教育プロジェクトに関わってきた樋口さんに
教育を変えたいけど、どうしようか悩んでいる学生のためになるお話を伺います。

教育現場をこどもたちのために変えたい!でも、学校の先生はすごくブラック…

Q.教職を取っている大学2年の筒井です。本日は私のような教育を変えたい、教育を仕事にしたい学生に向けたインタビューとなります。色々聞かせて貰えると嬉しいです。

はい、樋口(ひぐち)と申します。よろしくおねがいします。
普段は、ユースキャリア内では「Youth」という教育コミュニティのリーダーを、また学生時代から行っている都立高校向けのキャリア授業に関する、プログラム設計などをしています。

Youthとは▽

都立高校向けキャリア授業に関する詳細(イベント)▽


自己紹介としてはそんなところですが、筒井さん良いですね!自分が受けてきた教育を、次の世代の子たちがより良い形で受けられるようにしたいと思うのはすごく自然なことだと思います。

Q.はい!私もそう思います!ただぶっちゃけ、学校の先生がブラックだと言うのは、色々なところで言われてて、正直先生になろうか迷っています…

学校教員の職場環境問題についてはかなり前々から言われていて、
今では社会問題のひとつにあげられていますよね。

私は学生時代に、実際に現場の先生に話を伺ったり、文部科学省の方とお話する中で、これが事実なのか?を確認しに行きました

Q.実際どうだったんですか…?

事実でした。笑
私というソースからのみで判断するのもおかしいと思うで、ぜひこの記事を読まれている学生の方々には、自分でお話を伺いに行って確かめることをおすすめします。
話を戻すんですが、職場環境の問題は事実だったので、どうしようか冷静に考えました。

①ブラックだけど、現場で先生をやって、こどもたちを向き合うか?
②文部科学省や、政治の世界に行き、日本の教育改革の最上流をハードに目指すか?
③学校や塾を作り、こどもたちと向き合える環境を自ら作るか?

選択肢は主に3つだなと網羅的に考えました。

Q.私達の悩みが言語化された気がします…私達教職を取ってる大学生は、この選択肢で悩んでいます。どれも茨の道に見えます。

教育はこどもたちの未来と向き合う道なので、この3つのルートを取ったとしても、一定の苦労はあるのだとまず私は腹を括りました。
でも、私達は、こどもたちの未来を良くしたい!こどもたちが受けている教育を変えたい!
そうですよね?

Q.はい。そうです。私の場合、過去にいじめで友人を亡くしました。こんな悲しいことが起きないような教育にしたいと思っています。

ですよね!
しっかりとやりたいことがあり、一定の苦労はある。そこまでできたら後はどれが一番自分の人生にとって幸福なのか?
これを考えるだけで良いと思うんです。
筒井さんの場合も、3つの選択肢どれを取っても、影響範囲に違いはあれど、やりたいことができると思うんです。
あなたにとって最も幸福が得られ、不幸が少ない選択肢は下記のうちどれでしょうか?

①ブラックだけど、現場で先生をやって、こどもたちを向き合うか?
②文部科学省や、政治の世界に行き、日本の教育改革の最上流をハードに目指すか?
③学校や塾を作り、こどもたちと向き合える環境を自ら作るか?

Q.すごく進路がわかりやすくなると同時に、心に来る問いです…

私の原体験の話になるのですが…
私が小学生のときに担任をしていた先生が過労で入院したことがあります。
大好きな先生だったから、ショックも大きかったです。
でも本当にショックだったのは、自分に真剣に向き合ってくれた先生が裏では
大きな自己犠牲をしていたことです。
自分たちを良くするために、ニコニコと自己犠牲をしている人が居る。
これを子どもながらに体験したとき、とてもつらくて、家でわんわん泣きました。
自分のために辛い想いをしてるおとなが居るのは、子どもにとってつらいんです。
ニコニコと自己犠牲をすることは、子どもの教育に良くない。

私が教育に関わるならば、楽しく胸を張って、夢のある働き方がしたい。そう思いました。
だから、私は①②ではなく、③の自分で学校や塾を作り、こどもたちと楽しく胸を張って、夢のある働き方で向き合える人になろうと思いました。
これが私が考えた最も幸福が高く、不幸(自己犠牲など)が少ない選択肢でした。
もちろんこれは感性なので、人によって違いはあると思います。

Q.樋口さんにそんな原体験があったんですね…たしかに教育者は聖人じゃないといけないって、私もなんとなく思っちゃってました…でも聖人が与える悪影響もあるんだって初めて気づきました…

ブラックで自己犠牲をする職場環境に疑問を感じることは正しいことだと思います。
ただ、教育に携わる人には、教育の仕事そのものがブラックなわけじゃない!
それは伝えたいです。
もし真剣に教育業界について悩んでいる、教育現場を変える仕事をしたいのであれば、時間を取ってお話ししますよ!

教職が忙しくて、ほかの活動ができない…。でもこどもたちに最先端教育を提供できる活動がしたい

Q.教職ってかなり時間が取られて、なかなか樋口さんのようにほかの活動ができません…

私がリーダーをしているYouthプロジェクトに居るメンバーも、筒井さんのように教職を取っている学生がほとんどです。
でも、一緒に文部科学省の方とお話をする機会や、現役の先生、高校に行きキャリアの授業を行っていたりします。

Q.体力や気力が違うんですかね…?

シンプルに所属している環境の違いだと思います。私が通っていた高校では、休み時間に休んでいる人はほとんどいませんでした。みんな単語帳を読んだり、問題集を解いていました。
私はそれに引っ張られて、負けじと休み時間に勉強をしていました。
こんな経験ありませんか?
体力は、若いので大体あります。所属環境の違いで、成績や能力の伸び方が違うのは高校の受験と一緒かなと!

Q.たしかに現状のクラスでは、ほかに活動をしている人が少なく、教職しかしていない周囲に引っ張られてしまっているんだと気づきました。本当はもっと海外の教育に触れたり、海外の教育手法を日本の教育現場で試してみたいんです。教育を変える仕事をしてみたいんです。

良いと思います!毎日大学の中でしっかり授業を受けることも大事かもしれませんが、私は学生時代から実践をするために、既存の学校法人様や、教育機関と連携してプロジェクトを作ってみたりしました。
これがとても楽しくて、やっぱりシンプルに私自身勉強が好きで、教えることが好きだとわかったんです。

Q.たしかに漠然と教育をやりたいやりたい!ではなく、実際に教える経験。実際に自分が海外の事例を学ぶ経験。が大事ですよね。

多くの教育に携わる学生は、塾講師や家庭教師のアルバイトを経験してると思います。
そんなチャンスでも、こんな教え方しようかな?と工夫して、教える経験は得ることができると思いますよ。
ぜひ試してみてほしいです。
その中できっと冒頭でお伝えした最も幸福が得られ、不幸が少ない選択肢というのも自分の中に見えてくると思います。
現在ちょうど都立高校でのキャリア教育を複数の高校で行っていて、一緒にいい授業を作ってみましょう!いい経験になると思います!

教員以外で、教育を変えたい学生へ。7つのまとめ

以下、樋口さんのアドバイスを纏めてみました!

  1. 教育現場が今どうなっているのか、ちゃんと確認しよう。
  2. 自分のキャリアを最も幸福が得られ、不幸が少ない選択肢から選ぼう。
  3. 教育に関わるならば、楽しく胸を張って、夢のある働き方をしよう。
  4. 教育に携わる仕事すべてがブラックなわけではない!
  5. 所属する環境の違いで、学外活動に向けられるエネルギーは変わる。
  6. 実際に教える経験、学ぶ経験を積んで、教えるのが好きかを確認しよう。
  7. 日本の教育を一緒に変えましょう!

樋口さんからのメッセージ

「世の中の当たり前を更新する」

私は、「当たり前って何だろう?」と、岐阜の片田舎でずっと考えてきました。

そもそも、岐阜県でシングルマザーの家庭で育った私は、東京に出てくるまで「コンサルティング」という職業をそもそも知らなかったんです(なぜなら周りにいないから。だから人のためになる=教師?ぐらいしか選択肢がなかった)

これは一例ですが、それだけスタートの段階で既に大きな差があるし、これは年々広がっています

子供達のやりたいことや夢は基本的に、子供達の経験や、誰と触れ合ってきたか何を見てきたかに基づいています。

どんな地域に生まれても、どんな親のもとであっても、どんな年代に生まれても、その子が今持ってる当たり前を更新して、夢を広く持ち、それを追い続けられるそんな世界を作りたいと思っています。

もし、同じようなことを考えている方がいたら、遠いとわかっていても追いたいこの夢に向かって、一緒に叶えにいきませんか?
ご連絡、お待ちしています!

樋口さんがリーダーを務める、Youthについて詳しく知りたい方はこちら