子どもたちの夢をつくる教育現場の最前線【キャリア教育事例(東京都立千早高校)】

みなさん、はじめまして!
ユースキャリア教育機構・Specialistに所属している石上雄也です。

プロフィール

富山県出身
2001年生まれ、大学4年生

「身近な人のビジョンに伴走する」のビジョンのもと、中高生へのキャリア教育事業に関わるほか、SNSマーケティングを通してやりたいことのある人の発信のサポートをしています。

現在、ユースキャリア教育機構では、都内の中学校・高校と連携し、中高生に対してキャリア教育の授業を行っています。

数年前から始まったこの学校連携事業は、現在では都内10校にて授業を行うまで大きくなり、通年で毎週授業を行わせてもらえる学校も増えてきました。

今回は、そんな中でも授業に関わり始めてから6年目と最長の「都立千早高校」での授業運営の様子をご紹介します!

教師としてのキャリアを考えたい方や、学生のうちから実際の教育現場を見てみたい方には参考になる部分があるかと思います。ぜひご覧ください!

子どもたちの「夢」をつくる授業

僕たちが千早高校で行っている授業のコンセプトは、

自分の持っている「こうなったらいいな」を、自分・他者・社会を笑顔にするカタチで変えていく

というもの。学校で行う授業としてはあまり見かけないコンセプトですよね。

実際の授業は、PBL(Project Based Learning)型授業という授業形式で進みます。

日本語では「問題解決型授業」と呼ばれ、生徒自らが課題を見つけ分析し解決していく過程を通して、自身の課題解決能力や実践能力を育むことを目指した授業のことを言います。

実際に、授業では生徒一人一人が自分自身の興味関心から発して自分の取り組みたい課題を設定し、その解決に向けて調査・分析を行い、計画を立て実行していきます。

このような年間の活動を通して、生徒自身の「夢の種」を見つけ、育み、大きくしていくことを大事にして授業を運営しています!

こんな企画が生まれました

こうした授業の中で実際に生徒から生まれた企画を一つご紹介します!

  • 十人十聴プロジェクト

こちらは、「聴覚過敏」をテーマにしたプロジェクト。

聴覚過敏とは、身の回りの音が日常生活に支障が出るほど大きく耳に響くように聞こえてしまうことで、不快感や心的ストレスを感じる症状のことを言います。

自分自身ときょうだいがこの当事者であったことから、「当事者同士のコミュニティの形成」と、「世間的な認知の拡大」という2つを軸に活動しました。

当事者と非当事者の交流を目指したイベントの様子。

画像のようなオフラインイベントの開催やSNSでの発信活動を続けた結果、聴覚過敏の症状を軽減する「イヤープラグ」を開発する企業と連携して活動するまでになりました。

現在は、企業の新商品のアンバサダーに就任し、商品の普及活動に取り組むほか、新しい商品の開発にも携わっています。

当事者の視点で実際に商品を使用し、SNSで発信している。

このように、この授業の中で生徒たちは、周りの力を借り、時には企業や外部の団体などとも協力しながら、設定した課題の解決に向けて取り組んでいます。

大学生メンターの役割

授業を運営する大学生メンターの役割は、主に2つあります。

1. 授業の目標達成に向けた授業計画の策定

千早高校での授業では、毎週決まった曜日の授業を通年で担当しています。

その授業の年間計画や毎回の授業計画、授業で使う資料などは、先生とも相談しつつ基本的にはすべて大学生メンターが自分たちで作成しています。

このように授業を自分たちで一からつくり実践できる場は、他の学習支援の例を見てもそうはないと言えるでしょう。

その分もちろん責任は大きくやるべきことも多くて大変ではありますが、生徒から期待していた反応がもらえた時、そんなことを忘れるくらい強くやりがいを感じます!

2. 授業内での生徒のサポート

もう一つの役割は、生徒への直接の指導。

生徒それぞれが年間を通して進めていく自分のプロジェクトは、環境問題、動物保護、服のリサイクル、サブカルチャーの普及など、まさに多種多様なテーマが集まっています。

それに対して大学生メンターもこれまでの自身の経験に照らし合わせながら、生徒の悩みに答え、ともにプロジェクトのゴールまで伴走していく役割を担います。

多様な経験をしている大学生が集まっているからこそ、サポートの厚みも増しています。

メンターとしての成長

大学生メンターとして参加した学生からはこんな声が寄せられています。

サポートを通じて自分自身が成長する

授業で生徒と接する時に意識するのは「斜め上の関係」です。生徒にとって大学生メンターの立場は、先生ほど遠くもなく、同級生よりも教えられることが多い立場と言えます。ただし、自分自身が学びをストップさせてしまうと、一気に生徒たちに抜かれて教えられることもなくなってしまいます。飲み込みの早い生徒たちに負けないくらいのスピードで常に自分自身も学び進む必要があり、自分の位置を見直すいい機会となりました!

(N大学4年)

必要なのはスキルじゃない

私も最初に大学生メンターとして参加した時は、教職過程もとったことなければ、教育学部でもありませんでした。ただ、「平等に教育を届けたい」「どんな地域に生まれても・どんな場所に生まれても夢を平等に広げられる世界を作りたい」その一心で、大学生メンターを始めました。必要なのはスキルではありません。「子供たちの未来をより良くしたい」という気持ちが大切です。少しでも興味のある方はぜひ説明会へご参加ください!

(T大学修士2年)

やはり根本から授業をつくり運営していくため、その分得られるものも大きいよう。

また、コメントにもあるように、大学生メンター参加者の中には、教育に携わった経験が全くない人も多くいます。

実は僕も、学部が教育学部でもなければ、塾や家庭教師のアルバイトすらしたこともありませんが、それでも生徒たちのやりたいことを応援したいという気持ちで大学生メンターを始め、授業運営に携わることができました!

ぜひ教育に限らず様々な経験を持った学生に参加していただきたいなと思っています!

まとめ

今回は、都立千早高校での授業運営の様子をお届けしました!

ここまで濃く深い授業運営を行える場所は、他の教育現場でもなかなか見られないでしょう。

こうした教育活動に興味のある方は、こちらの記事からお申し込みください!