キャリア対談|人気職業上位の人たちで20代キャリアを語る

夢やキャリアプランについて考えているU29向けの記事です。 今回は、人気職業ランキング上位のゲームクリエイター、サッカー選手、教師(高校の学長)の3人でキャリアについて話します。

▼ 今回対談する3人

宇野

元 Cygames プロジェクトマネージャー

株式会社Specialist Entertainment 代表取締役社長

明治大学商学部卒。Cygamesにてプロジェクトマネージャーを4年勤める。

古田

元コンサドーレ札幌所属 サッカー選手
高校卒業後から、Jリーグにて11年間現役で活躍。
U17日本代表に選ばれるなど、国際大会も数多く経験。

福永

起業家育成高等学院 学院長
株式会社Armory 代表取締役社長
起業家育成を行う高校を運営。教師であり、学長であり、経営者でもある。

夢って何なんだろう? 夢には、こどもの夢とおとなの夢の2種類がある!

インタビュアー

今日は!夢やキャリアプランについて考えているU29のための対談をお願いしたいです!
キャリアの悩み解決の決定版となる話を期待しています!笑

一同:笑笑

インタビュアー

ちなみに早速ですが、みなさん夢は?って聞かれたらどう答えますか?
夢って概念自体がふわふわしてて、よくわからないなと思うんですよ。

古田

僕とかは、みなさんがイメージする夢そのものだと思うんですよ。
幼い頃から、ずっとサッカー選手になるって決めて、高校卒業してからコンサドーレ札幌でプレイしてたので。

そういう意味では、サッカー選手の僕にとっての夢は、目標に近かった
目標に近い夢だったから、叶えもしたし、叶わないことも多かったですよね。
たとえば、僕は本当は海外でプレイしたかったけど、叶わなかった。
夢を叶えてもいるし、挫折も経験しているんです。福永くんもそうだよね?

福永

僕は叶わなかったですけど、同じくサッカー選手になりたかった。ケガしちゃったんで、挫折しましたがw
じゃあサッカー選手になれないなら、この熱量をどこに向けよう?そんなことが次の問題として出てきたんです。だから僕にとっての夢って、エネルギーの向き先を決める方角や指針のようなものなんだと思いますね。
なんか人によって夢の使い方や概念には結構ひらきがあるんでしょうけど、それでいいんでしょうね。

インタビュアー

おふたりがわかりやすいキャリアを歩んでいることもあって、夢という概念がわかりやすくなった気がします。
夢は人によって使い方が違っていて、
・目標のように使う人
・方角や指針を決めるざっくりとしたラベルを自分に貼る人

こんな具合で考えられると、少し夢を考えやすくなるし、サッカー選手がこう言ってたからという考えへの裏付けが貰えて、考えへの自信が出てくる学生も多そうです。宇野さんはどうです?

宇野

僕はゲームクリエイターにこどもの頃からなりたかった人なんだけど、こどもの夢、おとなの夢ってのがあると思うのよね。
ゲームクリエイターになりたいってのは、こどもの自分が作った夢。
だからこどもの夢。古田さんや、福永のサッカーの夢ってのもこどもの夢。
で、けっこうこどもの夢って適当な生まれ方をしていて、僕の場合は、友達の兄ちゃんがパソコンいじったり、プログラムを書いてて、かっこいいなーと思ったのが最初。聞いてみたら、ゲーム作ってるみたいで、そんなことできるなら、それを仕事にしてみたい。毎日ゲームして暮らせるなんて最高じゃん!と。笑

一同:笑笑

インタビュアー

ごはん大好きな子が、ずっと毎日食べたいから、料理人になりたいと言い出したような状態だったんですね。笑

宇野

そうそう。笑 だからこどもの夢ってけっこう適当に生まれるなあと。
でもさ、20歳くらいになって、こんな適当に仕事や生き方を決めれないでしょ?おいしいもん食いたいから、料理人。ゲームし続けたいから、ゲームクリエイターってw そんな適当に生きれない。
大人になって作った夢は、大人の夢ってのがあると思う。
僕は今地元岐阜県の地域活性化や、自分より若い世代のキャリア教育をやってるんだけど、これは大人の夢。
恩返しがしたいし、それを現実的に仕事になる形でやろうってわけ。
これは大人が考えそうな夢だよね。だから夢って、こどもの夢とおとなの夢があるんじゃないかと思うんだよね。

古田

宇野さんっぽい。笑
夢をそういう切り口でわけるんだと。笑
でもそれ大事です。僕はサッカー選手の夢を叶えたので、もう夢をロストしました。それでもまだ残り人生70年…。
夢なしで生きるには、先が長い…そう考えると、
大人の夢ってけっこうおじいちゃんの自分から見て、悔いが残らないような状態や事柄を成すことを入れますよね。
僕も20代後半で引退して、そのあとなにもなしでは、前半戦がピークの人生になるじゃないですか。
この分け方すごく良いと思います。

インタビュアー

夢を叶えても、また夢を作るんですね。
夢を叶えた人たちも、夢がない系の人に一度はなるというのも興味深いですよね。
すこし夢という概念や、使い方についてわかってきた気がします。

Q.夢ってなんだろう?

・【分け方】こどもの夢、おとなの夢にわけることができる。

・【使い方】目標として使うこともできるし、方向性を決めるツールとしても使える

・【決め方】

こどもの夢:こどものときに決めたある種適当なもの

おとなの夢:自分がおじいちゃん、おばあちゃんになったときをイメージして、悔いの残らない状態(金銭/家族構成/性格/ありたい様など)、達成していたい事柄をベースに作ると考えやすく、決めやすい。

【新発見】「夢を叶えた」人で幸せな人は案外少ない?夢にはプロセスある?

インタビュアー

さきほどの古田さんのお話で、サッカー選手というひとつの夢の中で、叶う夢と叶わない夢があったというのが印象的だったんですけど、これって叶った、叶わなかったで言うとどう考えると良いんでしょう?

古田

なるほどなるほど。
夢を叶えたら幸せになれるってところから一回離れてみましょうか!
というのも、サッカー選手になれた時点でみんな幸せそうかというと、決してそうではないんですよ。
僕は夢のプロセスについて、わかりやすい経験をしたと思ってるんです。
先程僕は海外でプレイしたかったという話をしました。

プレイしたかったけど、トライアウト(※入団テスト)を受けて落ちました。
でも、僕はまったく後悔をしていませんし、日本でプレイできた時間にとても満足しています。
一般的な夢へのイメージからしたら、海外に行けなかった=不幸と考えますかね?夢って目指した上で、調整が掛かるのが常なんですよ。

わかりますかね?

福永

夢の調整すごくわかりますよ。
誰しもサッカー少年ってエースストライカーになりたいんですけど、チームに凄い子が居たらなれない。でもサッカーは好きだから、キーパーとか違うポジションで活躍できたり、楽しめるように調整しますもんね。

古田

まさにです!実際の夢のプロセスってこんなことが常なんです。
僕だって海外に行きたかったが、そのためにできることは精一杯した。
でも、同じ日に自分よりも良い選手が受けに来ていた。だからダメだった。
だから日本というポジションで活躍できるように次はこっちで結果が出るように調整するんです。
夢のプロセスで大事なのは、叶えることはもちろんですが、それと同じだけ如何に調整が掛かる中で満足し、楽しめるかなんですよ。じゃないと現役生活は長いですし、どんどんやりたいことは晩年できなくなって、悲しい引退が待ってるんです。
これはあらゆる夢に共通するプロセスだと思いませんか?

宇野

完全に古田さんに同意です。僕もゲームのプロデューサーになりたかったんですね。でもやってみたら、びっくりするくらい絵の才能がなかったり、仕様を作るプランニング業務が弱かったりと、できないことのオンパレードなわけです。すべての能力が高くないとなれないプロデューサー職には就けないなら、やっぱり調整するしかない。
自分が唯一生きれるビジネス職種のプロジェクトマネージャー職で、夢を調整しながら叶えていくしかありませんでした。でも後悔はないです。楽しいビジネスライフでした。
これって全く同じで、あらゆる夢に共通するプロセスだと思います。

インタビュアー

夢を叶えることと同じだけ、調整が掛かる中満足できるかというのは、たしかに私も部活動で経験があり、わかります。
仕事やキャリアについても同様に考えると、コレ!って自分が今決めたとしても、どうせ調整が掛かるんだということを楽しんで取り組めることの方が大事かもしれませんね。

Q.「夢」で幸せになれる人とは?

・サッカー選手になれた時点でみんな幸せそうかというと、決してそうではない。
・夢には共通するプロセスがある。
・夢の調整が起きても、如何に満足できるようにするか?が叶えることと同じくらい大事。満足できる人は、引退後も幸せな人が多い。

新しいキャリアプランの立て方 -3人の自分を満足させる!?-

インタビュアー

夢という概念、ツールの使い方についてははっきりしてきましたが、

続いて、キャリアプランってどう考えるといいんでしょうか?

福永

キャリアプランって基本個々人によりそうではありますけど、個々人がアレンジしやすいフレームワークみたいなものを提供してあげられるといいんですかね?考える項目が無限にある中、それをいくつかに絞って簡略化するのが、フレームワークだと思うんで。

古田

僕はサッカークラブ以外で働いたことがあまりないのですごく気になります。笑

一同:笑笑

宇野

ちゃんと大学出て、上場企業でサラリーマンもして、今会社経営してる僕が通っていいですか?笑
この記事を読んでいる方たちの肌感には近いのかなと思ってますし、
ぼくがいつも使ってる良いフレームワークが1個あります。

インタビュアー

すごく気になります。笑
サッカー選手、大卒で起業家のおふたりなので、宇野さん頼みです。

一同:笑笑

宇野

ちょっと重たいですね。笑

12歳の自分と80歳の自分と、今の自分の3人で話し合いを設定する
というのを僕はよくキャリアプラン設計の上でやっています。
12歳の自分を想像してみてください。とても純粋で、未来の自分が楽しそうでなりたい大人なのか?会ったときに判断されます。
今なにしているの?なぜそれをしているの?と聞かれて、うっ…となったらダメです。あなたが20歳として12 – 20歳の8年間が12歳の自分にとって意味がなかったことを証明しかねないです。
自分だからこそ嘘がつけない。このフレームワークの良いところです。
12歳の自分を相手にしたら、嘘がつけないですよー

古田

これは良いですね!12歳の自分と会ったら、自分のことをなんて思うだろう…
学生の人もそうだし、僕みたいな引退後のサッカー選手にも使える良いフレームワークですね。
僕なんかは、もう引退しちゃってるから、サッカーより魅力的なことをしていなければ、少しがっかりされそうです。
そう思うと、12歳の自分って圧がすごいですねw
こどもの自分に喜ばれる自分であるにはずっとチャレンジが必要なキャリアになる。

宇野

そうなんです。笑 12歳の自分ってけっこう圧がすごいです。
古田さんのようにひとつ夢を叶えた人にとっても、もうひとチャレンジすることを要求してきます。
大学生についても、今過ごしてる毎日にがっかりされないか?というとても圧を掛けてくるでしょうね。
大学生くらいだと12歳にかなり近いので、12歳への満足度が高い生き方に憧れることって多いと思います。
ですが、ここで80歳登場です!
80歳は、やり残したこと、お金のこと、後に大きな影響を与えるものにうるさいです。
僕の場合ゲームクリエイターって、12歳ウケは抜群なんですが、80歳ウケが悪いんです。なんせ30すぎくらいまでしか働けないし、そのうえ給料もそんなに高くない。笑
この仕事って、マイナースポーツの選手をやってるような感覚に近いんです。

福永

80歳からしたら、20代で作ってたゲームのこととか、もうあんま覚えてなさそうっすよね。笑
でも、死ぬ時の後悔に詳しそうなのは80歳ですもんね。
そう考えると、80歳に好かれる生き方って大事ですね。

宇野

そうそう!そうすると、80歳がうるさいから、ゲームクリエイターをしながら、自身の会社を作ってお金の問題を解決しておこうとなったわけだね。
スポーツ選手で言うセカンドキャリアの考え方を会社員に持ち込んで考えてた感じだね。
ゲームも作る、お金の問題も解決する。両方やって始めて12歳と80歳の両方が納得してくれる。ぜひこれを読んでる方が、キャリアに悩んでいるのであれば、一度お風呂で12歳の自分と80歳の自分をイメージして、脳内会議をしてみてください。キャリアって人に聞いて得られる知識もありますが、最後は自分。だからこそ12歳、今、80歳の3人の自分で一緒に考えてみてください!

Q.キャリアプランの立て方とは?

・キャリアプランは個々人によるので、個々人でアレンジされやすいフレームワークを使おう。

・12歳の自分と80歳の自分と、今の自分の3人で話し合いを設定しよう
・自分との話し合いなので、普通の自己分析と違って嘘がつけない

・12歳や80歳は人それぞれ違うので、結果個々人でアレンジされる

・12歳は楽しいか、なりたいか?を図ってくれる。
・80歳はやり残したこと、お金のこと、後に大きな影響を与えるものを図ってくれる。

人気の仕事のメリット×デメリット。楽しい仕事にもデメリットはある。

インタビュアー

ここまでは、読者の悩みに直結する夢やキャリアプランについて触れてきたんですが、少しここから話を変えて、御三方について触れたいです。それこそ仕事のぶっちゃけなメリデメを聞いてみたいです。
宇野さんはゲームなんで、激務のイメージあります。

宇野

そうですねw やっぱり時期によって激務なのもそうですし、管理職をしていたので、バグが発生したら夜中でも飛び起きて対応とはなりますね。
ゲームを通じて、楽しく遊んでもらうためには必要なことなので、プロとして当たり前と思ってましたね。そこは。
多くのプレイヤーに喜んで貰うのが僕の夢なわけなので、表裏の関係かなと。
ほかにもみんなが遊ぶ時期にこちらは大型のリリースをしたりするので、みんなが遊ぶ時期は僕の仕事の忙しい時期になるんですよね。
これは人気の仕事には多いんじゃないですかね?

古田

サッカー選手も同じですね!試合は土日のみんなが見に来れる日ですからね!
その分来てくれたお客さん3万人の前でプレイできる喜びはすごいですよ。
逆にこれはプロならみなわかると思うんですが、その人数からブーイングを貰うこともあります。
これはそういう仕事なので、デメリットというより受け入れるしかないと思ってます。特に家族や両親が見に来ている時にブーイングを貰うと、親は自分の息子が叩かれてるのを見てられないですし、妻や子供もすごく悲しい気持ちになります。
家族は一番の僕のファンなので、誰よりもこういうのが悲しいんですよ。
悲しんでる一番のファンを見るのが、僕にとっても一番つらいことです。
これは多くの選手がインタビューでも語ってますよね。

人気の仕事のメリット×デメリット

・楽しい仕事にも嫌なことはある。でもプロとして受け入れないと、その仕事はできないこともある。

夢を叶えた3人が次に描くやりたいこととは?

インタビュアー

これが最後のテーマになるんですが、みなさん今後なにがしたいか?などありますか?多くの人が喜ぶゲームを作った、日本のサッカーファンに喜んで貰った、挫折した経験からチャレンジする人の支援をする、その先!これからはどうしていきたいんでしょうか?読者の方も気になってるかなと思います。

古田

僕はスポーツ選手のセカンドキャリア支援をやりたいんですよ!
宇野さんがさっき言ってくださってた12歳と80歳の話じゃないですけど、サッカー選手としては満足の行く人生でしたが、このままだと人生全体で見ると前半戦ピークの人生になってしまいます。
それだけで終わりたくないので、自身もチャレンジをしながら、自分のような悩みを持っている選手たちにしっかりとキャリア支援をしてあげたいですね。
そのために、この一般社団法人ユースキャリア教育機構を宇野さん、福永くんと作りましたからね。
今はうちのコミュニティに30人くらいJリーガーを抱えていますけど、もっと多くの選手のサポートがしたいですね!

福永

僕に関しては、まだ夢叶えたとかじゃないですけど、ケガで挫折したからこそ、チャレンジする人の支援をし続けたいですね。
今はそのためにも高校生に対しての起業家教育をメインにしてます。
宇野さんやユースキャリア教育機構の学生たちと協力して、色々な行政や自治体の方々と提携しながら、中学生や高校生にキャリアや起業教育をできてるので、これをどんどん広げていきたいってところが直近僕がやりたい夢(方角、方向性)ですね。
うちに所属する学生たちからしても、自分より年下の起業家目指してる子とかと出会うと刺激的ですし、行政と組んで仕事やれる経験ってまあできないですから、楽しいですよね!笑

宇野

僕は大人の夢たくさんあるんですけど、大きくわけると2個ですかね。
1個目は、このコミュニティを一番夢が叶いやすいコミュニティにすることです。これだけ夢やキャリアプランに詳しくて、親身になれる組織は日本にないと思ってます!実際居る子達からもそう言われます。
2個目は、地元の地域活性化ですね。僕は家業の運送業が祖父の代から続いていたりするので、そっちもあったり、地元のお祭や行政と連携した施策を形にしていくところですね。
実際このユースキャリア教育機構でも、広島県や岩手県など色々な地域と一緒にPJをしていて、他県を見て、自県を改めてるところがあります。
地域を盛り上げたい若者はうちにも多いですし、広義で見れば日本を盛り上げたい若者が多いということなので、どんどんこの組織からそれを作っていきたい。
そして、ぼちぼちコロナも明けるんで、世界に出ていこうと僕は思っています。30歳過ぎて、少し成功体験や価値観が固まりつつあるので、一度シャッフルしたいなと。先月慶應義塾大学に入学して、学生に戻ってて、色々と価値観をシャッフルしに行ってます。
結果的にこういうチャレンジで人生というフォルダが大きくなれば、その中にあるビジネスフォルダ、家族フォルダ、プライベートフォルダが充実してくるかなという目算です。
こういう姿を学生たちに見せることが、ユースキャリア教育機構の代表としてあるべき姿かなと思ってますね!

インタビュアー

御三方!長丁場でしたが、ありがとうございました!!
キャリアの悩み解決の決定版となる記事になったと思います!!

キャリア対談記事いかがだったでしょうか?
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