こんにちは、編集長の高瀬です。
今回は、弱冠22歳で西武鉄道主催の高架下活性化プロジェクトに、4企業・団体のみ入れる中の1つとして選ばれた「Aitie」(読み:アイタイ)代表の湯川愛可さん(あだ名:あいきゃん)に話を聞きました。
【イベント内容】
西武鉄道株式会社と株式会社西武リアルティソリューションズが共同で行う、石神井公園駅〜大泉学園駅の高架下開発を進めていて、2023年から商業利用予定。
オープンを前に、地元で活躍する企業や団体がポップアップとしてイベントを実施しており、今回がイベント2回目。
今回のテーマは、「アート×サステイナブル」。多くのアーティストが活躍するこのエリアから、芸術文化と持続可能な地域社会を見つけていく企画。
■ 概要
日程:2022年7月23日(土) 10:00~15:00
場所:西武鉄道池袋線 石神井公園駅―大泉学園駅高架下「高架下の小さな広場」(石神井公園駅から徒歩約7分)
価格:入場無料
※西武鉄道とのイベント記事はこちら▽
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000103822.html
彼女はユースキャリアのメンバーとして、学生時代から挑戦し続けていたメンバーの1人です。
実際、ユースキャリアではどんなプロジェクトがあり、それはどんなメンバーがやっているのかを知りたい方に、ぜひ読んでいただきたい記事となります。
現場で代表・あいきゃんに話を聞く
高瀬:
イベントの話があって、びっくりしたよ!
少し詳しい話を聞きたいなと思って。
あいきゃん:
ありがとうございます!(笑)
暑い日ですが、沢山の親子連れの方々が集まってくれて、とても良かったです!
高瀬:
4団体しか選ばれていないと聞いて、これってそう簡単に選ばれるものではないよね?
あいきゃん:
実際、今回は4つの企業・団体さんからしか選ばれなくて、私達は運良くその1つに選んでもらいました。
高瀬:
凄いね。そして、運良く選ばれるっていうことは無いよ(笑)
あいきゃんが運営している「Aitie」の団体では、今回どんなことをやっているの?
あいきゃん:
Aitieでは、テーマにある「アート×サステイナブル」を発想として、「子供のための廃材遊び」を実施しています。
カーテンの布や洋服の切れ端、木材などの廃材を自由に選んで、クレヨンや絵の具で絵を描いたり、木工用ボンドでくっつけたりして、感性溢れたオリジナルおもちゃを作って持って帰ることのできる企画をしています!
廃材は地元企業から出てきた廃材をリユースして、子供たちがめいいっぱい楽しめるような企画が行えたのでは…と思っています!
高瀬:
めっちゃ本格的だね、このイベントは・・・。凄い…!
今回は、Aitieやユースキャリアのメンバーも参加しているのかな?
あいきゃん:
まさにそれで、例えば春先に高瀬さんから紹介してもらったユースキャリア所属の桑原佳那さんが、今回の企画を0からディレクションしてくれています!
彼女はまだ研修生(ユースキャリア内では教わる側)で、Aitieに入って2ヶ月ほどですが、元々ギャラリー事業や伝統工芸に興味がある方で、自発的に動いて活躍してくれていて、とても頼りにしています。
今回のイベントは、Aitieとしては初めての本格的なイベントで、
これを機にメンバーみんなでAitieを社会と繋がる団体にしていきたいですね!
高瀬:
少し、Aitieそのものについても聞こうと思う!
Aitieはどんな団体で、どんな活動を主にやっているんだろう?
あいきゃん:
Aitieは、2021年から本格的に始めた団体で、いまは無料塾というものを主にやっています。
無料塾は、「学習支援+やりたいことサポート」をテーマにしていて、学習支援では受験に向けた学習支援や学校の補修をやっています。決まりきったカリキュラムは無く、例えば英語を沢山やりたいという子にはそれに合わせた支援を行っています。
今は12人の子を見ていて、半分が中学生、4割が高校生や20歳くらいの中卒の子です。最年少は中1ですね。
障害がある子や不登校、シングル家庭や生活保護を受ける子が主な生徒なのですが、いわゆる「可哀想な子」という認識ではなく、社会に適合できていない子の未来を明るくするということを大切にしています。
そのため、学習支援教室や社会適合教育みたいなことはしたくないなって思っています。
高瀬:
なるほどね!
いわゆる社会的弱者を守るみたいな文脈ではなく、いかに特徴のはっきりした面白い子を面白いまま大人にしていこうか、ということを考えているのか。
あいきゃん:
そうです。なので、勉強を教えるということはあまりやっていません。学習支援というよりも、「キャリア教育」という軸が強いんです。
元々私はキャリア教育に興味があったからこそ、この子達と話すことは「何をやりたいか」「そのために今、何をやるべきか」ということです。勉強はあくまで手段で、それよりもどんな大人になりたいかの方を徹底的に重視しています。
なので、物事や将来を深く考え始める中学生からを主な対象としています。
そして、そもそも普通の社会では中々馴染めないからこそ、「人生の豊かさって何だろう」ということを考えさせています。実際、昔の私自身もそうでした。
人生を豊かにすることを考えると、やるべきことが段々と見えてきます。
例えば、ある子が声優になりたいと言ったとき、一緒に声優学校を調べて、声優になれる確率を調べて、その調べ方も教えて、
必要な学費ど今の生活費を割り出してどの程度バイトをする必要があるのかを計算し、…というようなことをやりました。
高瀬:
あーたしかに、これは普通の塾では全く無いね(笑)。
英語とかじゃないもんなー。
あいきゃん:
言い方が合っているかはわからないんですが、人生を豊かに生きるための生きる力みたいなものなのかなと思います。
私としては、社会に適合することってどうでも良いと思っていて。それは、面白い才能や哲学を持っているけど社会の枠組みから外れている子が、枠組みに入る代わりに面白さを削いでしまうことよりも、社会に適合しなくて良いから生きる強さを付けて、一緒に頑張るべきことは頑張ろう!っていう、ある種の連帯感なのかなと思っています。
紆余曲折はありましたが、ようやくそれも形になり始めているのかなと感じています。
高瀬:
今回のイベントというのは、その流れから生まれたものということなのね。
Aitie自体の哲学というか方向性というか、いま現状どんな感じに考えているんだろう?
あいきゃん:
Aitieでは、こんなVision(ビジョン)を設定しています。
無料塾はあくまでも手段の一つで、私のやりたい核の部分はここにあります。
<Vision>
「“じわぁ“な縁結びで、世界のワタシ色を生み続ける。」
<Vision ステート文>
世界ってシンプルだ。
やりたいことをやりたいだけやりきる。
ありたいようにあり続ける。
私はワタシを生き抜く。
何色にもなれる。
私はワタシの色になる。
【Aitieについて】
note:https://note.com/aitie/
Twitter:https://twitter.com/Aitie_nerima
Instagram(Aitie):https://instagram.com/aitie.shiro
Instagram(無料塾):https://instagram.com/nerima.aitie
HP:http://aitienerima.com
高瀬:
あいきゃん自身の性格って、自分ではどんな感じで捉えている?
というのは、もしかしたら似たタイプの人がこのインタビューを読んでいて、何か将来の参考にならないかなって思ったんだよね。
あいきゃん:
私自身は、実は良くも悪くも「変化できる」「演じる(演じてしまう)」人間なんじゃないかなと思っています。
こういう印象を持ってほしいという人にはそういう自分を見せるし、普通じゃないって思われたければそういう子を演じてしまうんです。それは、過去もそうだったし、今も結構そうですね。
まっすぐで、一貫した人にはずっと憧れがあります。けれど、自分はそういうタイプの人間ではないなと小さい頃に気づきました。
嫌だなと思ったり、思い悩むことも多いんですが、それでも段々と受け入れつつあるのが今だなって思っています。それでも、ずっと付きまとってはいるんですけどね(笑)。
高瀬:
個人的に気になるのは、何故そういう行動をするようになったのか?というところが気になっていて。並な言い方を敢えてすると、「教育やりたいなー」とか「子供のキャリア考えたいなー」という大学生や若手社会人って世の中多いと思うんだけど、それを実際に形にする人と溝って結構あるんじゃないかなって思ってて、この辺ってどんな感じだろう?
あいきゃん:
元々、私は起業や経営に中学生くらいから興味がありました。
大学は明治大学の商学部で、ゼミは経営戦略関係。その界隈のど真ん中ですね。
その中で、塾のアルバイトをやっているときに、ある児童養護施設の子をキッカケに起業するなら教育や貧困、格差問題に関係のある取り組みをしたいなと。
大学のゼミでも社会課題をテーマにするゼミに入り、そこで社会課題に関するプレゼンを毎週やっていて、そんな仕組みづくりに興味を持ったんです。
高瀬:
元々ビジネスに興味があったところに、社会課題としての教育の観点が入ってきたわけか。
だからボランティアでプレイングしましょうという話ではなく、あくまで仕組みづくりの観点を設計当初から入れていて、かつ現実的な位置取りもしているということね。
あいきゃん:
そうです!本当に世の中を変えるためには良いシステムを組まなければと思っていて、そのためにはプレイヤー的な動きは少し微妙だなと思っているのが本音です。
1教室だとどうしても救える人数に上限があって、見える範囲だけ救うのは自分が救った感を感じるためのエゴでしかないなとつくづく思っています。
という立派なことは考えつつも、最初は全然どうすれば良いのかわからなくて。
若いが故に信用や人脈、お金はあまり無い。けれど若うちからど真ん中で取り組みたい、というときに、
いろいろなNPOの人に話を聞きに行ったときに、やはり社会的に成功している人がNPOでも成功していたということがわかったんです。
リアルに考えたときに、正面からいくのは難しいなと思い、
現段階ではどうなんだろう?ということを考えると、
今はまず
・人と繋がりやすい事業
・応援されやすい活動
・幅を広げやすい活動
・自分が救いたいと思える子供に直接会える活動
という条件から、まずは無料塾をやろうということになったんです。
高瀬:
偏見かもしれないけど、こういう社会的な活動をする人って、感情で始めることが多いと思うんだよね。故に言葉にパワーが出て多くの人を巻き込めるという利点がある一方で、ロジックの部分を後回しにする傾向も強く、継続性や将来性が難しくなることも多いのかなと。
その部分でいくと、あいきゃんのAitieはかなり論理的に色々なことを考えた結果なんだね。
あいきゃん:
私は本当にこの活動をやりたいと思っているので、どうやったらできるかを考えたときに、「長期戦」だなと思ったんです。
この長期戦を戦うために、今はまず何をやるべきか、どうやるべきか。それをリアルに考えました。
高瀬:
ある種の強さを持つことは、凄く大切だよね。
あいきゃん:
人が付いてくるのって、献身的過ぎて疲弊してしまっている人よりも、楽しそうで幸せそうな人だと思うんです。未来が明るそうな人には、誰だって興味を持ちますよね。
だから、まずは他人を幸せにする前に、自分が幸せになること。これを大切にしています。
子供達にも日頃伝えていますが、夢を叶えるために現実と向き合うことって、辛いんだけど一番夢に近づく一歩なんじゃないかなって思っています。
やりたいならば、やろう。そのために必要なことは全てやろう。というのを私自身が体現しようとしているのかもしれません。
高瀬:
あいきゃんのことを聞いていると、Aitieで叶えたことって実はまだ全然多くないと思っているんじゃないかなって気がするんだよね。
今後のAitieの展望を聞いてみたい!
あいきゃん:
正直、まだ全然叶えてないですね(笑)
やりたいことはまだまだあります。
いま直近、やっていきたいことは、「飲食×ギャラリー」が一体化した居場所を作り運営することです。
人と人が出会える場所を作りたいと思っています。
高瀬:
へー!なるほど!
場所作りだと色んなジャンルがあると思うんだけど、どうして「飲食」と「ギャラリー」というジャンルなんだろう?
あいきゃん:
実際のリアルな場を作る上で、前提として私はお客さんを選べるし、選ぶ必要があると思っています。
それは、何よりも子供たちのためにそうしたいという気持ちがあります。
子供というのは、子供時代にある周りの環境によって、相当性格や生き方が決まってきます。
そして、私自身はアーティストになりたい子や、アーティスト思考のある子供が私は好きで、そんな子達にとって未来を広げる良い大人を会わせてあげたいなと思っています。
そんな子達に、ご飯を食べさせたいなって。
食堂って、人が集まって、会話が生まれて、ご縁が生まれやすいですよね。
アーティストも、ギャラリーではあまり会話しないけれど、飲食の場では話すと思います。
そういう、良い大人が居て、その大人と会話をし縁が生まれること。それが「飲食×ギャラリー」という構想です。
高瀬:
面白い。
特に、子供の環境を作ろうというところが、あいきゃんの経験も感じるし、哲学ともピッタリだなって思う。
一見すると、西武鉄道のイベント、無料塾、飲食×ギャラリーというのがバラバラに見えて、実際は全て密接につながっていて、シナジーが凄くあるんだね。
あいきゃん:
どこまで行っても、Aitieというのは「縁結びのプラットフォーム」なんだと思っています。
それを計算して、意図して起こしていきたいんです。
「出会い」って素敵だけど、数に寄りすぎているなって感じるし、
「運命」って神秘的だけど、質に寄りすぎていると思うんです。
丁度よい数と、丁度よい質。
それが子供にとって、最も大切なのではと考えています。
しっかりと設計したプラットフォームの中で、子供たちの無限の可能性の中で五感を刺激しまくって、予想を超えた縁が結ばれていくこと。早くそういう世界を作っていこうと思っています。
高瀬:
さっきの「長期戦」というところが、凄く染みてくるね。
焦らず前へ進む、したたかだけど力強いというのが垣間見えるね。
あいきゃん:
そう言ってもらえて、凄く嬉しいです。
やっぱり、順番って大事だよなって思っていて、常に物事の順番とタイミングを考えています。
この飲食×ギャラリーが回っていけば、次の展開が凄く作りやすいんです。
そこに来た人と次の種を探して、繋げていく。そして発展していく。
ここからがAitieの面白いところだと思っています。
高瀬:
最後に、「あいきゃん」自身の未来について聞いておきたい。
あいきゃん自身は、どんな人になりたいっていう理想像ってあるのかな?
あいきゃん:
これは明確にあって、私は以前から
「のんきなおばちゃん」
という存在になることを目標にしています。
「のんきなおばちゃん」というのは、純粋に人に囲まれていながら、人にお節介を焼いている状態のおばちゃんです。「これやりなよ!」みたいな!
その中でも、お節介のレベルが高くなると良いな、と思っています。
高瀬:
確かに、今日のイベントで子供たちや後輩メンバーと関わるとき、ちょっと片鱗が見えたよ(笑)。そういう存在を、目標にしているんだ。
あいきゃん:
私としては、縁結びや教育は、エゴでお節介なものだと思っているんです。
感覚的に、お節介って何だか、可愛いし楽しそうという感覚なんです。
自愛と慈愛、そのバランスが取れていという感じで、良い距離感だし、良い意味でのめり込み過ぎていないという感じです。
「義務感でやってあげています」というのが、私は一番嫌いです。それってエゴで、それよりも「楽しいから人にお節介している」という状態が良いですよね。
適当に笑って、楽しいからお節介している、というのを、私は「のんき」と呼んでいるんです。
高瀬:
こういう「のんきなおばちゃん」になる上で、今の課題感というか、どうなるとこの姿になれなくなるんだろう?条件を聞いてみたい!
あいきゃん:
「のんき」そのものって、今でも本当はできるはずだと思っています。
例えば、高校生のときは結構「のんき」だったと思います。
でも、大学生のときは「のんき」では無かったんです。
よく考えてみると、お節介ってそもそも、自分に余裕が無いとできないと思うんです。
人脈やお金や、色んなものが余裕のある状態。それって大事だよなーって感じます。
その状態であれば、面白い話や夢がある話ができて、それでお酒が美味しく飲めますよね(笑)。
高瀬:
環境も大事だよね。
その感覚になれるのに、良いメンバーに囲まれている必要がありそうだね。
あいきゃん:
本当に、後輩や仲間に感謝しています。
私の周りは、「のんき」な人が多いです。本人は否定するかもしれないけれど…(笑)
そのおかげで、大学時代にのんきじゃなかった私も、だんだんとまた「のんき」の片鱗が見えてきました。
そういう人間になって、私は楽しく生きていて、周りも楽しく生きている。
そんな景色がここで見れたら、最高だなって思います!
今回の記事では、実際に現地に取材をしに行き、
イベントや「Aitie」、そしてあいきゃん自身の素顔に迫ってきました。
まだまだやりたいことがあって、どんどん仲間に集まってもらい、プロジェクトを進めていく段階です。
どんなことでも構いません。
イベントや無料塾に興味を持った方、Aitieの未来を一緒に作りたいと思った方、あいきゃん自身と話してみたい!と思った方は、ぜひ以下からお問い合わせください。
今日からあいきゃんと、一歩踏み出してみませんか?
世界ってシンプルだ。
やりたいことをやりたいだけやりきる。
ありたいようにあり続ける。
私はワタシを生き抜く。
何色にもなれる。
私はワタシの色になる。