<プロフィール> 1998年新潟県上越市生まれ。法政大学在学中に岩手県大槌町復興取材を行う。震災取材から大槌町で衝撃的な出会いを果たし、2018年に「大槌プロジェクト」を設立する。地域活性化・まちづくりの講師として大学で授業登壇。NHKなどに取材される。その他にも暮らしづくりの複合施設「みちくさくらす」を共同経営する。現在は、発達障がい児支援事業をしながら、社会起業家育成コミュニティ「だん」の代表をつとめる。
Q.大学1年生のころからNHKに取材され、学生なのに授業に登壇する立場…
学生の私からすると、びっくりするような経歴です。
私もどうしたらそんなふうになれるか?
どういう人生プランを作ると良いかの参考にさせていただきたいです。
よろしくおねがいします。
いえいえ!最初は普通に新潟で18年間を過ごして上京しただけの大学生ですよ!
せっかくのインタビューなので、ソーシャルセクターでのキャリアについて学びになるものにしていきましょうか。
どうしたらなれるか?そうですね…様々な経験をさせてもらいましたが、
大きくふたつ要素があって、
一個が周囲に活動的な学生仲間が多かったこと、
もう一個が、学生の頃からたくさんの大人の方々に助けて頂いたこと、
このふたつが大きかったですね。
筒井さんの周りにはどんな大人、どんな学生が居ますか?
私は最近この一般社団法人に来始めたくらいなので、
ふだん遊びに行くのはふつうにアルバイトしてる友人。
社会人も関わるのは、親くらいになってます…
そうですよねそうですよね
これから増やしていくといいですよ!
人って周囲の影響をかなり受けますからね!
ソーシャルセクターにおけるキャリアは、一般的な大学生にとっては珍しい選択肢が多くなるので、色々な人と会っていく中で、選択肢を考えるといいですよ。
私もあまり最初はイメージができず、卒業後に地域おこし協力隊として働くくらいしかイメージできませんでしたから。
でもこれもちょっと珍しいですよね、普通卒業したら、就職ですから。笑
そうですよねw 普通は卒業したら就職。
それなのに、中村さんは自分で事業をすることや、
コミュニティを運営されていますよね?
これはなんでなんでしょうか?
これは聞いてくれて嬉しい質問です!
まちづくりや地域活性化をしたい大学生にはぜひ覚えておいてほしいんですが、
過疎集落や小さな街は一般的に3つ足りないことがあると言われています。
人口、観光資源、産業の3つです。
この3つがない街をどう盛り上げるのか?がまちづくりや地域活性化で行うGOALのひとつです。
私が大学生の時に行った、岩手県の大槌町も3.11の影響もあり、この3つに拍車を掛けている状態でした。
地域おこし協力隊や、企業のCSR活動などで、自分が直接現地に住んだり、PRをすることもキャリアとして考えましたが、この3つにダイレクトに大きな影響を与えることは難しいと感じました。
自分が産業を作る、産業から得たキャッシュを使って、観光資源の整備をすることなど、ダイレクトに大きな影響を与えるために事業をやることを選びました。
どんなキャリアを選ぶかはスタンスにもよると思うんですが、
ビジネス、事業という選択肢を選んで良かったなと思います。
事業家、起業家としてはまだまだなので、これからがんばらないとですが…
Q.現地でのボランティア活動を超えて根本問題を解決するためのビジネスだったんですね…。コミュニティを作っている理由についてはいかがでしょうか?
私は今ユースキャリア教育機構という一般社団法人の中で、「だん」という社会起業家育成コミュニティを作っています。
さきほど地域活性化には3つの不足があるということを話しましたが、
その中でも人口という問題に目を向けたとき、コミュニティが必要だと思ったからです。
たとえば人口が1万人の地方の村があったとして、20代以下は1000人程度です。
かなり厳しいですね。
ただこの1000人の若者がとても意欲的で、自ら物事を変えていくような起業家気質、イノベーター気質な若者だったらどうでしょう?
話が変わってくると思います。
人口の質的なところに目を向けると、村の問題解決は決して難しくないと思えてきませんか?
私も今東京で活動をしていますが、成長意欲の高い若者の大多数は、関東に来ます。
関東で若者向け社会起業家育成コミュニティを作ることで、
地方に優秀な若者が戻っていった際、大きなインパクトになると考えています。
私は彼らと地方や街に大きなインパクトを作りたいと考えています。
Q.社会問題に取り組む若者がコミュニティを持つべき理由がわかった気がします。
ちなみに中村さんは、なぜユースキャリア教育機構の中にコミュニティを作ったのでしょうか?
インタビューの冒頭で、筒井さんが質問してくれたことへの答えがこの理由になるかと思います。
私がここまでこれた理由は、
一個が周囲に活動的な学生仲間が多かったこと、
もう一個が、学生の頃からたくさんの大人の方々に助けて頂いたこと、
でした。
このユースキャリア教育機構には、社会問題に興味がある学生に限らず、
ITやエンジニアリングに特化している学生や、医学部歯学部の学生、
起業を志す学生など多様性がすごいです。
こういう周囲に活動的な学生仲間が居ることから得られる成長は、私がひとりでコミュニティを作るよりも、良いと考えています。
また、学生の頃たくさんの大人の方々に助けて頂いた経験もあったのですが、
このユースキャリア教育機構には、経営者、プロサッカー選手、日本を支える大きな会社で働く会社員の方から、フリーランスエンジニア、落語家さん、学校の先生まで非常に多くの方が居ます。
これだけの刺激的な大人に囲まれながら、活動ができる環境なので、普通に暮らすより成長が早いことは間違いないです。所属してる方のほとんども20代なので、年齢も近くて、フランクに社会人と交流ができるのは魅力的です。
まとめると、ユースキャリア教育機構の中で活動をしたほうが、
居るメンバーみんなの成長や自己実現の速度が上がるからですね。
Q.私もちゃんとユースキャリア教育機構を有効活用して、成長していきたいです。。。
ここまでは中村さんのWhatやHowの部分を伺ってきました。
ここからは中村さんのWhyの部分を聞いてもよいでしょうか?
わかりました!Why…そうですね。
一番大きなきっかけは、私が生まれ育った環境だと思います。私の両親は2人とも教員で、障がい者や特別支援学級のクラスを担当していました。父は比較的年齢が高い高校生を、母は小学生低学年を教えています。元々そういう環境に生まれたこともあり、社会問題について、家庭内で話したりすることも多かったです。
Q.家庭内で社会問題について話されていたんですね…
具体的に興味を持ち始めた時期はいつ頃だったんですか?
高校生の時だったと思います。
中学までの私は、親に迷惑もかけないよう、人にほめられるために、頑張る生き方をしていました。しかし高校生になってから、今後、人に褒められる基準がなくなった時に、自分を受け入れてくれる人はいるのかと悩む時期がありました。その時に、他人の評価軸での生き方に違和感を覚えるようになり、人の基準の評価ではなく、自分の価値観で生きてみたいという気持が出てきました。具体的な出来事としては、地元以外の世界も見てみたいという想いと、元々英語が好きという理由から、どうしてもホームステイに行きたくて親にお願いしたことです。この時は既に人と違うことをしたいという想いがあったのかもしれませんね。
社会貢献について考えだした印象的な出来事としては、毎年母親がユニセフにお金を寄付していることを知った時です。こんなお金の使い方があるんだと知り、高校生の時に自分のお金を初めて寄付しました。そこから、社会貢献に関して意識が芽生えだした気がします。
Q.高校で意識や興味が芽生え、その後大学に入ったわけですが、
大学入学当初はどうだったんでしょうか?
入学当初から、親に私立の学費や家賃などを払ってもらっていたので、その時間は無駄にしたくないという想いはありました。学校の勉強はしっかりやろうと考えていましたが、次第に学校以外のこともしないといけないなと思いました。
大学ではボランティアサークルや国際法を学ぶサークルなどにも所属しましたが、自分の目的とは違うことが分かったので、途中で辞めました。その後も国連やNPOなどのイベントやボランティア活動などに参加する日々が続きました。
Q.ずっとビジネスの話をされてたなか、中村さんもボランティア活動をされていたのは意外です。
社会貢献の活動をしていく中でターニングポイントのようなものはありましたか?
大学1年秋までは、行動はしていたのですが、割と空回り期であったと思います。想いを持って行動しているけど、結果などが出ない時期でした。地に足が付いた活動が出来ていなかったんだと思います。自分のやりたい活動が少しずつ出来るようになったのは、地域と学生をむすぶ、「第2のふるさと」をつくるプロジェクトである、大槌プロジェクトを立ち上げたぐらいからだと思います。大槌プロジェクトをやろうとした最初のきっかけは、 東日本復興取材という名目で岩手県大槌町にいったことです。それまでの取材活動では暗い現実社会問題について取り上げることが多かったです。その中でも、私自身どんなふうに伝えれば良いのだろうと葛藤を抱えました。
加えて、伝えるだけでなく、どう根本問題を解決しよう…
ビジネスをしよう!となったのはやっぱり現地の方々の声や顔を見て、というのが大きいですよね。
Q.大変なことが多い社会貢献の活動を続ける動機や理由はありますか?
社会貢献と呼ばれる活動をしていると、活動動機について誤解されることがあります。
例えば私からしたら、休日に社会問題について調べたり活動することは、勿論大変なことはあるけど、基本的には自分の好きなことであるし、関心を持つものであるからそこに時間や労力を割くことは、みんなが休日に映画を観に行ったり友達と買い物に言ったりすることを楽しんでいる感覚とあんまり変わらないと思うんですよね。だから偉いねとか真面目だねって言われるんですが、別に動機はそんなに高尚なものではなく、たまたま興味を持った分野が「社会貢献」であっただけなんですよね。
Q.ありがとうございます。
最後に、大学1年生の中村さんに伝えたいこと(アドバイス)はありますか?
ひなたさんに憧れていて社会貢献などをしたいと考えている人や過去の自分に対してアドバイスはありますか?
やっぱり周囲に活動的な学生仲間を置きましょう。
学生の頃からたくさんの大人の方々に助けて頂き、しっかり感謝し、winを返しましょう。
これに尽きると思います!
(インタビュー:筒井)
中村さん、長いインタビューでしたが、ありがとうございました!!