【初心者向け】中学生起業の始め方|事例・手順・注意点ををわかりやすく解説

「起業は、特別な才能やスキルを持った一部の人だけができるもの」というイメージがあるかもしれません。

でも実際は、やり方さえ知っていれば、中学生でもしっかりと事業を立ち上げ、経営することができます

もちろん、まだ一般的ではない分野だからこそ、事前に知っておきたいメリット・デメリットや注意点もあります。

この記事では、実際に成果を出している中学生の起業事例を紹介しながら、おすすめの起業の手順やリスクをわかりやすく解説します。

この記事で得られること

✅ 実際に成果を出した中学生起業家の事例を知ることができる

中学生が起業するメリット・デメリットを知ることができる

✅ 中学生が起業をするために何が必要かを知ることができる

スキルがなくても大丈夫!中学生起業家が増えている理由とは

近年、中学生や高校生による起業が、注目を集めはじめています。その背景には、YouTubeやInstagram、X(旧Twitter)などのSNSや、ネットショップ、クラウドファンディングといった“誰でも発信・販売ができるツール”の普及があります。

これまでの「お店を出すには大人になってから」「起業は資金がある人だけがするもの」と思われていた時代とは異なり、今では10代でもアイデアや行動力次第で、社会に価値を届けることができる時代になっています。

さらに、「GTE(グローバル・ティーン・アントレプレナー)」など、全国の中高生向けに開催されるビジネスプランコンテストや起業体験イベントの増加も若い世代の挑戦を後押ししています。学校でも探究学習の一環として起業をテーマに扱う事例が増え、「起業=特別な人がやること」から、「起業=学びの選択肢の一つ」へと社会の見方が変わり始めています

こうした流れの背景には、働き方そのものの変化があります。かつては「正社員として1つの会社に勤め続ける」ことが当たり前とされていましたが、今では副業や兼業、フリーランス、個人事業主という働き方も一般的になりつつあります。

企業側も副業を容認する動きが広がっており、“起業”そのもののハードルが下がっていることが、中高生の行動意欲にもつながっています。小さく始めて、続けながら学んでいくというスタイルが、社会的にも受け入れられやすくなっているのです。

また、最近の中高生は将来に対してより現実的な視点を持つ傾向が強く、早い段階から「自分でお金を稼げる力をつけたい」「自分らしい働き方を選びたい」という意識が高まっています。学校や家庭、社会の中での「将来はこうすべき」という型にはまるのではなく、自分のペースでやりがいを感じられる道を選びたいという思いから起業という選択肢を前向きにとらえる学生も増えています。

「ワークライフバランスを大切にしたい」「好きなことを仕事にしたい」という価値観が広がっている今、起業は単なるビジネスの手段ではなく、自分らしく生きる手段のひとつとして受け入れられつつあるのです。

樋口

<ユースキャリアメンターのコメント>

起業というと“すごいこと”のように見えますが、中学生の挑戦に必要なのは、特別なスキルより「やってみたい」という気持ちと一歩踏み出す行動力です。

むしろ柔軟な発想や身近な課題への気づきは、大人以上に優れたアイデアを生むこともあります。

小さな試行錯誤が、確かな学びと自信につながるのを何度も見てきました。

実際の中学生起業の事例を紹介

実際に自分のアイデアや想いを形にして、社会に価値を届けている中学生が増えてきています。

ここでは、ユースキャリア教育機構に所属している中学生起業家の取り組みをご紹介します。

ユースキャリア教育機構所属 太田嶋 亮成くんの事例:

太田嶋さんが立ち上げたのは、知的障がいのある人が描いた“絵”をネット上で販売する仕組みです。

この取り組みでは、販売額のうち90%をアーティスト本人に還元し、本人の「表現」そのもので収入を得られる仕組みを構築しています。

活動の原点は、障がいをもつ実の妹のために「将来、働く場所をつくりたい」という強い想いです。

この想いを起点に、本人の描いた作品が正当に評価され、経済的価値に転換される仕組みづくりに取り組んでいます。

この仕組みをもとに、太田嶋さんは実際に知的障がいのある方が描いたアート作品を活用し、オリジナルデザインの服や缶バッジを制作・販売するという活動をしています。

その成果は以下のとおりです。

  • アート展への出品を実現し、当日は600人以上を集客
  • 8着限定で販売したオリジナル服は完売
  • 缶バッジも50個が即日完売
  • ネット販売でも商品が購入される実績あり

アート展では、作品を実際に見て触れた来場者から高い評価を受けて販売にもつながるなど、社会的な意義とビジネスとしての成果の両立を実現しています。

亮成くん

「妹が大人になったときに、楽しく働ける場所をつくれたらいいな」と思ったのが始まりでした。

でもやってみたら、作品を見てくれる人がいたり、買ってくれる人がいたりして、「もっとちゃんとした仕組みにしたい」と思うようになりました。

これからも、応援してくれる人の気持ちにもちゃんと応えられるようにがんばりたいです。

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中学生が起業するメリットとデメリット

中学生がビジネスに挑戦する機会は、以前よりもぐっと広がってきています。ただし、起業にはメリットだけでなく、気をつけたいポイントもあります

以下に、中学生が起業に取り組むうえで得られるメリットとあらかじめ知っておきたいデメリットの両面をわかりやすく整理したので、起業を考えている中学生はぜひ参考にしてみてください。

メリット

「人・お金・時間」のマネジメント力が育つ

起業の過程では、自分一人で完結することはほとんどありません。チームでの役割分担や、協力者との関係づくり、資金の使い道を決める判断力、限られた時間内でやるべきことを整理する力など、実際の社会でも必要とされるマネジメントスキルが求められます。


普段の授業や部活動では得られないような、「自分自身で意思決定をしながら物事を前に進める経験」を起業では積むことができるのです。

こうした経験を繰り返すことで、将来どんな職業に就くにしても役立つ「経営感覚」や「管理能力」が自然と身についていきます。

表現力・課題解決力・コミュニケーション力の向上

起業の現場では、「何をやりたいのか」「なぜそれが必要なのか」を他人に伝える力がとても重要です。

また、思い通りにいかないことが当たり前の中で、何が原因かを考え、試行錯誤しながら解決策を見つけていく力も問われます。仲間との話し合いや、顧客とのやりとりの中で、相手の立場を想像しながら対話する力や、的確に伝える力が自然と養われていきます。

このように、起業活動を通して、教室では学べない「生きたコミュニケーション能力」と「実践的な問題解決力」が着実に伸びていくのです。

自己肯定感の向上と将来への自信に繋がる

自分が考えたアイデアや企画が形になり、実際に人に喜ばれたり、商品が売れたりする経験は、大きな自信につながります。

「自分にもできる」「自分の考えに価値がある」と実感できることで、他人と比較するのではなく、自分の成長に目を向けられるようになります。たとえうまくいかないことがあっても、「やってみた」という経験自体が自信となり、次の挑戦への原動力になります。

この前向きな感覚は、将来どんな困難に直面しても、行動を起こす力として自分を支えてくれる大きな財産になります。

大学受験(総合型選抜)でアピールできる実績になる

最近では、学力だけでなく、これまでの経験や活動実績を重視する「総合型選抜(旧AO入試)」を採用する大学が増えてきています。

中学生のうちから起業に取り組んだ経験は、他の受験生にはない独自性や実行力を示す強力なアピールポイントになります。特に「どんな課題に取り組み、どう行動し、何を学んだのか」を言語化できれば、面接や志望理由書で高く評価される可能性があります。

将来の進学を見据えても、起業経験は「結果」以上に「過程」が評価される貴重な材料となります。

デメリット

固定費や初期資金の負担がリスクになる

ビジネスを始める際には、設備の購入・材料の仕入れ・Webサイトの開設など、初期段階からお金がかかるケースがあります。特に中学生や高校生の場合、自分で使える金額に限りがあるため、少しの出費でも大きな負担に感じられます

また、思いきって初期費用をかけたにもかかわらず、売上が出なかった場合、その損失は精神的にも経済的にも大きなダメージになる可能性があります。

そのため、最初から大きくお金をかけるのではなく、小さく試して検証しながら進めていく姿勢がとても重要です。「どこまでなら失敗しても大丈夫か」というリスクの見極めを冷静に行うことが、継続できる起業につながります。

学業や家族との時間とのバランスを取ることの難しさ

学生にとっての本業はやはり学業であり、学校の授業・宿題・テスト期間などで忙しい日々が続く中で、起業活動まで両立しようとすると時間も体力も大きく消耗します。テスト勉強や受験のタイミングで事業に追われると、どちらも中途半端になってしまうリスクが高まります

また、ビジネスに集中しすぎることで、家族とのコミュニケーションや休息の時間が削られてしまうこともあり、心の余裕をなくしてしまう原因にもなります。

だからこそ、事業のスケジュールを決める際には、あらかじめ「忙しくなる時期」を見越して計画を立てることが大切です。無理なく続けられるリズムを見つけることで、学業・家庭・起業をうまくバランスよく両立できるようになります。

無償活動が長引くと、責任感が薄れがち

最初は経験を積む目的で、無料でサービスや商品を提供するのは良い方法です。ただし、それが長期間続いてしまうと「いつでも辞められる」と感じてしまい、活動に対する責任感やモチベーションが徐々に下がってしまう危険性があります。

また、周囲からも「遊びの延長」と見られてしまい、本気度や信頼性が伝わりにくくなることもあります。ビジネスとして成立させるには、「お金を受け取る責任」を意識することが重要です。

金銭のやりとりが発生すると、サービスの質や対応に対する自覚が自然と高まり、より良い成果につながる行動が促されます。早い段階か「価値を提供し、対価をいただく」という感覚を持つことが、事業を継続するうえでの土台となります。

中学生が起業するために知っておきたい5つのこと

①起業の手順|アイデア → 小さく実践 → 検証 → 改善

起業というと大きなことを想像しがちですが、最初は小さな一歩からでも大丈夫です。まずは「こんなサービスがあったらいいな」というアイデアを考え、それを身近な場所で小さく試してみましょう

たとえば、友達に使ってもらったり、家族に見てもらうだけでも立派な実験になります。

その反応をもとに「もっとこうした方がいいかも」と改善していくと、良い商品・サービスに徐々に近づいていきます。このサイクルを何度も繰り返すことで、少しずつ自分のビジネスが形になっていきます。

さらに、実践の規模が小さくても「実際に動いてみること」によって、机の上で考えているだけでは気づけなかった課題や可能性が見えてきます。実践と検証を積み重ねる中で、アイデアの精度が高まり、行動力や改善力も自然と養われていきます。

大切なのは、完璧を目指して動けなくなることではなく、「まず動いてみる」「小さく試す」ことを繰り返す姿勢です。この地道なサイクルこそが、長く続くビジネスの土台になります。

②手続きのポイント|最初は「個人事業主」や「任意団体」から

「会社を作ることが起業だ」と考える人も多いかもしれませんが、中学生の段階では、必ずしも法人登記をする必要はありません。まずは「個人事業主として活動する」「仲間と一緒に任意団体を作る」といった形でスタートするのが現実的です。その方が税務や法務に関する手続きも少なく済み、保護者と一緒に進めやすくなります。

たとえば個人事業主であれば、売上が一定の水準を超えない限りは確定申告もシンプルで、税務署への開業届の提出だけで始められます。

また、任意団体であれば、メンバー同士でルールを決めて自由に活動を進めることができ、学校外での「プロジェクトチーム」としても機能します。いきなり大きな制度に縛られるのではなく、自分たちの実力と状況に合った形から始めることが重要です。必要に応じて、事業が成長してきた段階で法人化を検討すれば十分対応できます。

③資金調達方法|“お金を集める”より“使いすぎない”が重要

資金が必要なときは、クラウドファンディングや学校のビジネスコンテストを活用するのがおすすめです。応援してくれる人や先生の協力を得られれば、これらの方法でも十分に資金調達することができます。ただし、最初から大きなお金を集めようとしすぎないことも大切です。「やってみたけど失敗した…」というときに備え、必要最低限の資金でスタートし、少しずつ伸ばしていく方が安全です。

特に初めての起業では、実際にやってみないと分からない出費やトラブルがつきものです。予算が大きすぎると、無意識のうちに無駄な支出が増えてしまい、プレッシャーも強くなります

だからこそ、「最初は自分の持っている範囲で」「回収できる目処のある範囲で」始めるという視点が重要です。身の丈に合った規模から始めることで、柔軟に改善を重ねながら、持続可能なビジネスに育てていくことができます。

④親のサポート|味方になってもらえると大きな力に

中学生が起業に取り組むうえで、保護者の理解やサポートはとても大きな支えになります。特に初期は、活動の趣旨や安全面についてしっかり説明し、信頼を得ることが大切です。「なぜそれをやってみたいのか」「どんな形で始めるのか」を整理して伝えると、応援してもらいやすくなります。

親の協力が得られると、金銭の管理や取引時の名義、外部とのやりとりなどで安心して活動を進められるようになります。また、心理的な面でも「自分の挑戦を見守ってくれている人がいる」という安心感は、大きなモチベーションにつながります。

一方的に「やりたい!」と伝えるのではなく、相手の立場や不安にも配慮しながら丁寧に説明することが、理解と信頼への第一歩です。家庭の協力が得られれば、起業はより安全で前向きな学びの場として機能します。

高瀬

<ユースキャリアメンターのコメント>

起業に挑戦するとき、最初に「どう親に話すか」で悩む中学生も多いです。

でも、うまく説明しようとしすぎなくても大丈夫

「なんでやってみたいと思ったのか」だけでも、自分の言葉で伝えてみることが大切です。親は“味方になりたいけどよく分からない”だけかもしれません。

丁寧に話そうとする姿勢が伝われば、きっと応援してくれるはずです。

⑤「やりきる力」が何より大切

起業というと「特別な才能や技術」が必要に思えるかもしれませんが、実際には専門スキルよりも“やりきる力”のほうが大切です。

途中でうまくいかないことがあっても投げ出さず、最後までやりきる力。お客さんや関わる人に対して誠実に向き合う責任感。そういった「人としての姿勢」が、ビジネスマンとしての信頼獲得につながります。

特に中高生の起業では、「どれだけすごいことをしたか」よりも「途中であきらめずにやりきったか」が周囲から最も評価されるポイントです。うまくいかなかったとしても、学んだことや改善の工夫を振り返って次に活かすことで、その経験自体が貴重な財産になります。「失敗=終わり」ではなく、「やりきる=成長」だと捉えて、最後まで責任を持って行動することが成功の鍵となります。

起業で後悔しないために|中学生が気をつけたいポイントとは

中学生でも起業に挑戦できる時代とはいえ、無理のある始め方をしてしまうと、途中でうまくいかなくなってしまうこともあります。

「やってよかった」と思える経験にするためには、最初の一歩で気をつけるべきポイントを押さえておくことが大切です。

会社設立など、高コストなスタートは避ける

中学生がいきなり法人を登記したり、オフィスを借りたりする必要はまったくありません。

実際、法人化には数十万円の費用がかかり、毎年の維持費や手続きも必要になります

最初は「個人でできる活動」「お金をかけずに始められる方法」から始めるのが賢い選択です。

まずは、フリーペーパーをつくる、SNSで商品を紹介してみる、知り合いに試してもらうというような小さな一歩からで十分です。大切なのは、初期費用をかけることよりも、まず行動して学び、改善するサイクルをつくることです

費用を抑えて始めれば、たとえうまくいかなくてもダメージは最小限で済みますし、チャレンジを続ける余力が残ります。焦らず、身の丈に合った規模で少しずつ前に進めることが、起業を継続させるコツです。

借金はしない

「お金を借りてスタートすれば、もっと大きなことができる」と考える人もいるかもしれません。

しかし、お金を借りるということはその分「返さなければいけない責任」が生まれるということです。事業がうまくいかなくなったとき、大きな負担になる可能性もあります。

クラウドファンディングやコンテストの賞金など、返さなくていい形での資金調達を考える方が安心です。特に中学生の場合、借金に対する知識やリスク判断が未熟なまま契約してしまうと、取り返しのつかないトラブルにつながるおそれもあります。

自分ひとりで返済責任を負うことができない立場である以上、「借りない」「リスクを背負わない」という判断が、もっとも堅実な選択肢です。まずは、自己資金や応援を頼るなど、安全な範囲でチャレンジを重ねていきましょう。

最初から大きな成果を狙いすぎない

「せっかく起業するなら、たくさん稼ぎたい」「注目を集めたい」と思うのは自然なことです。

しかし、最初から大きく狙いすぎてしまうとプレッシャーや失敗のリスクも大きくなります。

まずは、「3ヶ月以内で完結する小さなプロジェクト」くらいの規模感で始めてみるのがおすすめです。たとえば「10人に商品を使ってもらう」「自分で作った作品を10個売る」など、達成できるサイズで設定すると、成功体験にもつながりやすくなります。

起業の第一歩は、“無理をしないこと”がとても大切です。できることからコツコツと積み重ねることで、「やってよかった」と思える経験を着実に増やしていくことができます。

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「誰かに喜ばれる経験」を大切にしよう

売上や利益を出すことももちろん大事ですが、最初の一歩では「誰かに喜んでもらう経験」を大切にしてみてください。たとえば、自分で作ったものを友達が「これすごくいいね」と言ってくれたり、「もっと欲しい」と言ってくれたりする―そんな小さな反応が、やる気にも自信にもつながります。

お金よりまず「価値を感じてもらえること」が、実は事業を成長させる上でもとても重要になってきます。「誰かに必要とされている」という実感は、モチベーションを長く保つための最大の原動力になるのです

また、相手の喜ぶ姿から「自分が提供できる価値とは何か」を深く理解できるようになり、結果的にビジネスとしての方向性もより明確になっていきます。最初の評価やリアクションこそが、自分自身の強みや可能性に気づくチャンスになります。

3ステップで“試してから改善”を繰り返そう

「アイデアは思いついたけど、どうやってカタチにすればいいの?」と思ったときは、次の3つのステップを意識してみましょう。最初から完璧を目指す必要はなく、小さく動いて、反応をもとに改善していくことが大切です。

① 顧客インタビュー|届けたい相手の声を聞く

まずは「誰に届けたいのか」「その人は何に困っているのか」を、実際にその人に話を聞いてみましょう。例えば、同じ学校の友達、家族、先生など、対象になりそうな人にインタビューしてみるだけでもOKです。

自分が良いと思っているアイデアが本当に相手にとって必要なのかを確かめることが、この後の全ての基礎になります。「これってどんなときに困る?」「今どうしてる?」といった質問から、相手の本音を引き出してみましょう。

② 試作品づくり|アイデアをカタチにしてみる

次に、インタビューで得た情報をもとに、「たたき台」となる商品やサービスの試作品を作ってみます。

難しいものでなくて構いません。手描きのチラシ、簡単な試食、スライドでのサービス説明など、“伝わる形”にすれば十分です。

ここで大切なのは、「ちゃんと完成してから見せよう」と思いすぎないことです。未完成でもいいので、早く見せて反応をもらうことの方が重要です。

③ フィードバックをもらう|本音を聞いて改善する

試作品を見せたり体験してもらったりしたら、「どう感じた?」「もっとこうだったらいいと思う?」と率直な意見を聞いてみましょう。

このフィードバックが、サービスをよりよくするための最大のヒントになります。

感想がもらえたら、それを元にもう一度つくり直して、また反応を聞く、というこの“試す→聞く→改善する”のサイクルを何度か繰り返すことで、アイデアはどんどん洗練されていきます。

この3ステップを地道に実行することで、相手のニーズに合った価値あるサービスに近づけていくことができます。

何より、「相手の声を聞きながらつくる」ことで、起業が“自分のため”だけでなく、“誰かのため”の活動に変わっていく実感が得られるはずです。るサービス」に近づけていくことができます。

王条くん

<ユースキャリアメンバーのコメント>

アイデアを考えたときは「これ絶対いい!」と思ってたんですけど、友達に話してみたら「それ本当に必要?」って言われてハッとしました

反応を聞くうちに、「相手が困っていること」と「自分がやりたいこと」がズレていたことに気づいて、アイデアを大きく変えることにしました。

やってみてから分かることって、すごく多いなと思いました。

「やってみる → 振り返る → やり直す」 が成長のサイクル

起業で大切なのは最初から完璧な結果を出すことではなく、やってみて、反応を見て、改善していくというサイクルを繰り返すことです。この繰り返しが、考える力や実行力、自分なりの工夫をどんどん育ててくれます。

最初のうちは、「間違えたらどうしよう」「失敗したら恥ずかしい」と感じることもあるかもしれません。

しかし、失敗は「止まる理由」ではなく、「学ぶチャンス」として捉えることがとても大切です。一度の結果に一喜一憂せず、「次にどう活かすか」を考える習慣こそが、起業家としての成長を支えてくれます。

たとえうまくいかなくても、自分で考えて動いた経験が残り、次に活きる引き出しになります。失敗を恐れずむしろ「試してみてから学ぶ」を繰り返すことで、自分だけのやり方や価値観が少しずつ育っていきます。

大切なのはできなかったことよりも、「そのあとどう向き合ったか」です。この“やり直しを恐れない姿勢”が、起業だけでなく、これからの人生でも必ず役立ちます。

起業というより「プロジェクト活動」から始めよう

「社長になりたい!」「ビジネスで成功したい!」という目標があるのは素晴らしいことですが、最初の一歩では、そこまで意気込む必要はありません。

自分のやりたいことを形にしてみる」くらいの軽やかな感覚で始める方が、結果的に行動しやすく、学びも深まります。

たとえば以下のような活動も、立派な「プロジェクト型起業」の第一歩になります。

  • 学校の文化祭で使えるオリジナルグッズを企画・販売する
  • 友達や家族の「困りごと」に応えるサービスを試しに提供してみる
  • 自分の趣味で作った作品をSNSやフリマアプリで紹介してみる

こうした活動は、小さくても実際の「価値の提供」を伴うものです。誰かに喜ばれたり、反応をもらったりすることで、「自分のアイデアで社会とつながる感覚」を得ることができます。


また、プロジェクト形式であれば期間やゴールを自分で決めやすく「とりあえずやってみる」「うまくいかなくても振り返る」という姿勢が育ちます。「ビジネスをやる」ではなく、「やってみたいことをやってみる」から始めれば、無理なく自然に学びを積み重ねていくことができます。

最初の一歩を踏み出したい中学生へ

ユースキャリア教育機構は、“起業にチャレンジするきっかけ”の場として、経営を学ぶ若者のコミュニティを運営しています。

近年、中高生の参加者も増えていて、みんな最初の一歩からスタートしています

同じ思いを持つ仲間や、学生起業家の先輩、頼れる大人たちとつながりながら、夢への一歩を踏み出してみませんか?

少しでも気になったら、気軽にのぞいてみてください!