学生起業の資金調達術|融資の流れとメリット・デメリットを解説

この記事をご覧のあなたは、
「自分で何かを生み出したい」「将来は自由に働ける力を持ちたい」と考える学生が増えています。
SNSやYouTubeを見ると、同年代の学生起業家が資金調達やM&Aに成功している例も増えてきています。しかし、現実には「学生でも融資を受けられるの?」「お金が尽きたらどうする?」と不安を抱く人も多いはずです。
自己資金が少なく、親に頼らずに挑戦したい学生にとって、公的な創業融資制度は現実的な資金調達手段となります。この記事では、学生起業で利用できる日本政策金融公庫の新創業融資制度や自治体の制度融資を中心に、融資の流れ・メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。

学生起業で利用できる2つの融資制度

学生起業で資金を確保する際、主な選択肢は「日本政策金融公庫の新創業融資」と「各自治体の制度融資」です。どちらも公的支援であり、社会的信用が少ない学生でも利用できる制度として設計されています。公庫はスピード重視で資金を得やすく、制度融資は金利や保証料の負担を軽減できる点が強みです。目的や時期に応じて、どちらを選ぶかを見極めることが重要になります。

制度1.日本政策金融公庫の新創業融資

学生起業家にとって最も利用しやすいのが、「日本政策金融公庫の新創業融資」です。この制度は、国が設立した公的金融機関が行う融資で、創業前後の個人事業主や法人が対象です。最大の特徴は、無担保・無保証で借りられる点で、親や保証人の支援がなくても挑戦できる環境が整っています。金利はおおむね1〜3%前後で、審査から着金までのスピードも早いため、すぐに資金を確保したい学生に向いています。

制度2.各自治体の制度融資

もうひとつの選択肢が、各都道府県や市区町村が行う「制度融資」です。この仕組みでは、自治体が金融機関や信用保証協会と連携して融資を支援します。信用保証協会が“保証人”の代わりとなり、銀行が貸しやすくなるのが特徴です。
また、自治体によっては利子補給や保証料補助といったサポートがあり、学生起業でも低コストで資金を確保できます。

学生起業家が日本政策金融公庫の新創業融資申請をする際の4ステップ

日本政策金融公庫の新創業融資は、明確なステップを踏んで進みます。流れを理解しておくことで、審査をスムーズに通過しやすくなります。ここでは、借入申請書の提出から着金までの基本的な流れを紹介します。

ステップ1.借入申請書の提出

まずは、借入申請書を作成して日本政策金融公庫に提出します。申請書には、事業の目的、資金の使い道、返済計画などを明確に記載します。学生の場合、学業との両立や事業に割ける時間も具体的に書くと、実現性が伝わりやすくなります。

内容に曖昧さがあると審査で不利になるため、事業モデルを簡潔に説明できるよう準備しましょう。

ステップ2.必要書類の準備

次に、創業計画書や学生証、通帳コピー、資金使途を証明する見積書などを揃えます。特に、過去6か月分の入出金履歴や自己資金の証拠は重要視されます。可能であれば、簡易的な損益計算書や資金繰り表を添えると、計画の信頼性が高まります。「数字で語れる起業家」であることを示すことが、公庫の審査で最も効果的です。

ステップ3.面談・審査

面談では、担当者が事業の実現性や収益性について詳しく質問します。

「どのように集客するのか」「いつ黒字化できるのか」といった点を、具体的に答える必要があります。数字を根拠に説明できるかどうかが、審査の通過を左右する重要なポイントです。誠実で一貫性のある説明を心がけましょう。

ステップ4.審査 / 調査

面談の内容や提出書類をもとに、最終的な審査・調査が行われます。主に、資金使途の妥当性、自己資金の割合、返済能力などが確認されます。審査が通過すると、契約書を交わし、1〜2週間程度で資金が振り込まれます。

融資後は、領収書や請求書などの証拠書類を保管しておくことが大切です。

学生起業家が制度融資申請をする際の4ステップ

制度融資は、公庫とは異なり、信用保証協会を介して進められます。関係機関が多いため時間はかかりますが、補助制度によって実質的な負担を抑えられる点が魅力です。

以下では、制度融資の一般的な流れを4ステップに分けて解説します。

ステップ1.保証申込み

まず、金融機関の窓口で融資の申込みを行い、同時に信用保証協会への保証申請を行います。このとき、事業計画書や資金繰り表、見積書などを提出する必要があります。

申込先の金融機関が自治体の制度に詳しい担当者であれば、進行がスムーズになります。初めての場合は、自治体の商工相談窓口を併用するのもおすすめです。

ステップ2.保証審査

信用保証協会が、提出された書類や面談内容をもとに審査を行います。必要に応じて現地確認や追加ヒアリングが実施されることもあります。学生起業の場合、実績が少ない分、外部支援や試作品・予約販売など“証拠”となるデータが重要です。

返済能力だけでなく、計画の実現性を示す姿勢も評価されます。

ステップ3.保証承諾

保証審査を通過すると、信用保証協会から金融機関に「信用保証書」が送付されます。この時点で、融資実行のための準備が整ったことになります。保証が承諾されると、金融機関との最終契約へと進みます。

保証書は融資の“信頼の証”であり、事業の社会的信用にもつながります。

ステップ4.融資実行

金融機関との金銭消費貸借契約を締結し、融資が正式に実行されます。保証料は発生しますが、多くの自治体ではその一部を補助しています。融資金は事業資金として計画的に使用し、支出の証拠を必ず保管しておくことが大切です。この段階で初めて、実際の事業運営がスタートします。

学生が起業の際に融資を利用するメリット3選

正しい知識をもって融資を活用すれば、学生でも資金を確保して事業を始めることは十分可能です。融資は単なる“借金”ではなく、ビジネスを加速させるための戦略的な資金調達手段です。ここでは、学生が起業時に融資を利用することで得られる3つの大きなメリットを紹介します。

メリット1.自己資金が少なくても事業を早く始められる

融資を活用すれば、貯金やアルバイト収入だけでは足りない初期費用をすぐに確保できます。学生起業では、アイデアを思いついても資金不足で動けないケースが多いため、融資は「挑戦のスピードを上げる手段」として有効です。

設備費や仕入れ、広告費などを前倒しで投じられるため、立ち上がりを加速できます。

メリット2.融資を受けることで社会的信用が得られる

金融機関から融資を受けたという実績は、事業計画が第三者に認められた証になります。学生にとって「銀行が信頼した事業である」という事実は、取引先や投資家への説得力につながります。信用力を高めることで、次の資金調達やパートナーシップの形成もスムーズになります。

メリット3.自己資金を温存し、成長投資に回せる

全額を自分の資金でまかなうと、運転資金に余裕がなくなり、事業継続が難しくなる場合があります。融資を使えば手元資金を残しながら、マーケティングや新商品の開発など“攻めの投資”に充てることができます。結果として、資金繰りにゆとりを持ちながら、成長スピードを保つことができます。

学生が起業の際に融資を利用するデメリット3選

資金を借りるということは、返済義務を背負うということ。事業が軌道に乗らなければ、返済が重くのしかかる可能性もあります。また、審査や書類準備などの手続きには時間と労力がかかり、想像以上に大変です。

ここでは、学生が起業時に融資を利用する際に注意すべき3つのデメリットを解説します。

デメリット1.返済義務があり、赤字でも支払いが続く

融資は「返さなければならないお金」であり、売上が立たなくても返済は発生します。

想定より収益化が遅れた場合、資金繰りが悪化し、経営に大きな負担となるリスクがあります。特に学生は安定収入がないため、返済計画を慎重に立てる必要があります。

デメリット2.審査・面談などの準備に時間と労力がかかる

融資を受けるためには、創業計画書や資金繰り表などの書類を作成し、面談を経て審査を通過する必要があります。初めての学生起業家にとって、これらの準備は想像以上に大変です。

また、審査に時間がかかるため、資金が必要なタイミングに間に合わないケースもあります。

デメリット3.金利や保証料などのコストが発生する

融資には利息の支払いがあり、借入額が多いほど返済総額が膨らみます。制度によっては信用保証協会への保証料が発生する場合もあります。

返済に加えてこうした費用負担があるため、実質的な利益を減らさないよう計画的に借りることが大切です。

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学生起業で融資を受け、事業を形にするためには、知識・計画・サポート体制の3つが欠かせません。ユースキャリア教育機構では、学生でも安心して創業融資に挑戦できるよう、事業計画書の作成支援や面談対策、資金調達の個別相談を行っています。

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