一般社団法人ユースキャリア教育機構・研究員の井上寛人です。
「教育に関わってみたい」
「誰かの成長に伴走してみたい」
そんな思いを持つ方に向けて、当機構のグループ組織NPO Youthが展開する「学校コンサル事業」の魅力と、そこで得られる成長についてご紹介します!
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学校コンサル事業とは?
学校コンサル事業とは、大学生が公立中学校・都立高校の「探究学習」の授業に講師として入り、
授業設計から実施、発表まで伴走する実践型教育プログラムです。
単発で関わるだけではなく、長期的な生徒の学びに関われること、
そして「教わる側」ではなく「教える側」として学校現場に入り込めることが、この事業の大きな特徴です。

現在、この学校コンサル事業に関わってくれる大学生=学生メンターを募集しています。
教育に関わってみたい方や、実践を通して成長したい方にとって、非常に挑戦しがいのある機会です!
学生メンターの主な役割は、次の3つです。
- 授業の設計と準備
- 授業の実施
- 中間・最終発表までの生徒への伴走支援
授業をつくるところから、生徒の発表を支え、次年度への引き継ぎまで関われる。
学校教育に広く、深く関われることも、この事業ならではの魅力です。
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学生メンターになることで得られるメリット
ここからは、実際に学生メンターをされている、のりたまさんとらくと君にお話を聞いてみましょう!
まず、学生メンターになることで、どのような成長が得られるのでしょうか?
のりたま:こんにちは! 学校コンサル事業でプロジェクトマネージャーを担当している、のりたまです。
あだ名の由来は、大学を「ノリ」で決めて、さい「たま」に来たからです!よろしくお願いします!

学生メンターを経験すると、得られる成長は大きく分けて2つあると感じています。
ひとつは能力的成長(スキル面)、もうひとつは精神的成長(価値観・考え方)です。
今回は、同じく学生メンターをしているらくとと一緒に、
具体的にどんな成長が得られるのかを紹介していきます。まずはスキル面から話してもらっていいかな?
能力的成長(スキル面)
らくと:はーい! 学生メンターのらくとといいます。よろしくお願いします!

能力面では、主に3つのスキルが身につきます。
- 人の心を開く力
- 臨機応変に対応する力
- 人前で伝える力

1. 人の心を開く力
らくと:まず一つ目は、「人の心を開く力」です。
これは、中高生相手に授業をするうえでとても重要なスキルです。
特に大事なのが、授業冒頭のアイスブレイクです。初対面同士の場では、どうしても緊張感があります。
その緊張を早い段階でほぐせるかどうかが、その後の授業の質を大きく左右します。
また、長期の授業では、生徒に次の3つを感じてもらうことが重要だと思っています。
- ワクワク感
- いけそう感
- 前に進んでいる感
難しい課題に取り組む中で、うまくいかず自信を失ってしまう場面は誰にでもあります。
そんなとき、前向きな声かけや「できていること」へのフィードバックがあることで、
人はもう一歩踏み出しやすくなります。
実際に1年間かけて高校生に伴走した際には、生徒一人ひとりに合わせて接し方やフィードバックを工夫しました。
その結果、中間発表や最終発表といった大きな山場でも、生徒たちは折れずに最後までやり抜いてくれました。
一人ひとりに合ったコミュニケーションを考え、心を開いてもらえた瞬間は本当に嬉しいです。
この力は、中高生との関わりだけでなく、さまざまな人間関係にも活きるスキルだと思っています。
2. 臨機応変に対応する力
のりたま:たしかに!あと、「臨機応変に対応する力」もすごく身につきます。
何が起きても落ち着いて対処できるようになります(笑)。
この力が身につく理由はシンプルで、学校現場では予想外のことが必ず起こるからです。
たとえば、
- 機材トラブル
- 生徒の進捗の遅れ
- 先生との認識のズレ
など、挙げればきりがありません。
こうした状況を経験する中で、「起こりうるトラブルを事前に想定し、先回りして準備する力」が自然と身についていきます。その結果、実際にトラブルが起きても落ち着いて対応できるようになりました。
3. 人前で伝える力
らくと:授業が始まったら、もう「何とかするしかない」ですからね(笑)。
三つ目は、「人前で伝える力」です。授業という現場だからこそ鍛えられるスキルだと思います。
30〜40人の生徒の前に立ち、「先生」として話す以上、自信がなくても、まずは伝わるように話さなければいけません。
中には話を聞いてくれない生徒がいることもありますが、それでも堂々と進行し、授業をやり切る経験を積むことができます。
そうした経験を重ねるうちに、人前で話すことへの緊張がやわらぎ、就職活動の面接などでも自信を持って話せるようになりました。
ひろと:どれも、社会に出てからも活きる力ですね。
僕もアシスタントとして授業に参加したことがありますが、のりたまさんの声量や、場を前に進める力に驚きました。
あれも現場経験の積み重ねだったんですね。
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では次に、「精神的な成長」についても教えていただけますか?
精神的成長(価値観・考え方)
のりたま:ありがとうございます! 学生メンターを通じて育つ価値観は、大きく3つあると感じています。
- 自信は「やってから」ついてくる
- 愛をもって改善点を伝える
- 目先ではなく、長期的に人の成長を考える

1. 自信は「やってから」ついてくる
のりたま:学生メンターをしていると、最初から自信がある人はほとんどいないことに気づきます。
私自身も、人前で話すことにあまり自信がなく、最初は声が小さくなってしまったり、うまくいかないことが多くありました。それでも、何度も現場に立つ中で少しずつできることが増え、気づいたときには自分に自信が持てるようになっていました。
自信は、準備が整ってから生まれるものというより、やってみる中で後から育ってくるものなのだと実感しています。
2. 愛をもって改善点を伝える
らくと:僕はもともと、人のいいところを見つけて褒めるのは得意だったのですが、改善点を伝えるのは苦手でした。
「指摘したことで、授業に来るのが嫌になってしまったらどうしよう」と思っていたからです。
そんなとき、先輩メンターが生徒に対して、本質を突くフィードバックをしている場面を見ました。
それは決して感情的なものではなく、相手の成長を本気で願っているからこその言葉でした。
それを見て、「嫌われるかもしれないから言わない」のではなく、「相手のために必要なら、きちんと伝える」という姿勢に変わりました。
実際に、褒めるだけでなく、しっかり改善点も伝えたときのほうが、生徒の反応やその後の行動に変化が生まれることが多かったです。
人は、本気で自分に向き合ってくれる人の言葉に動かされる。
そんなことを実感した経験でした。
3. 目先ではなく、長期的に人の成長を考える
のりたま:担当していた生徒の中に、授業へのやる気があまり感じられない子がいました。
あまり話してくれず、スマホを触っていたり、学校にも来ないことがあったり……。
正直、その場をやり過ごすこともできたと思います。
それでも、「この子にとって何が長期的にプラスになるのか」を考え、関わり続けました。
話しかけたり、自己開示をしたり、粘り強くコミュニケーションを取り続けたんです。
すると少しずつ、やりたいことや悩みを話してくれるようになりました。
授業の成果だけでなく、その子の人生にとって意味のある経験にすること。
そのために、一人ひとりに合わせた関わり方を最後まで模索しました。
この経験を通じて、目の前の成果だけでなく、人の長期的な成長に向き合う姿勢が身についたと感じています。
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なぜ、学校コンサル事業では成長しやすいのか
経験学習の観点から考える
ここまで、学生メンターの皆さんが感じている成長を見てきました。
ここからは、その成長がなぜ起こるのかを、心理学にルーツを持つ経験学習理論の観点から考えてみます。
「70:20:10」という考え方
みなさんは「70:20:10」という数字を聞いたことはあるでしょうか。
これは、人の成長を決める要素の比率を表した考え方です。
成人の学びのうち、70%は実際の仕事経験から、20%は他者の観察やアドバイスから、
10%は読書や研修などから得られると言われています。

つまり、自分で直接経験することは、人の成長にとってとても重要だということです。
その意味で、学生メンターとして現場に立つことは、非常に質の高い実践経験だと言えるでしょう。
経験学習のサイクル
では、人は経験からどのように学んでいるのでしょうか?
心理学者コルブは、経験学習を次の4つの要素で説明しました。
- 具体的経験をする
- 振り返る
- 教訓を引き出す
- 新しい状況に適用する

先ほどののりたまさんのエピソードにも、このサイクルが表れています。
- 具体的経験
生徒がなかなか話してくれず、このままでは授業のゴールに到達できないかもしれない。 - 振り返り
どうすればこの子にとって意味のある経験になるだろう。まずは明るい雰囲気で、たくさん話を聞いてみよう。 - 教訓の抽出
心を開いてもらうには、メンター側が最後まであきらめずに関わり続けることが大切だ。 - 新しい状況への適用
傾聴を意識し、自己開示もしながら、その子に合った関わり方を試していく。
学生メンターたちの話を聞いていると、「アイスブレイク」や「生徒へのフィードバック」といった授業の一要素をとっても、経験から学べる機会に恵まれていることが印象的でした。
さらに、中高生は大学生や大人以上に、良くも悪くも率直な反応を返してくれます。
授業が面白ければ盛り上がり、質問や意見もたくさん出てくる。一方で、つまらなければおしゃべりが増えたり、別のことを始めたりもします。
だからこそ、学生メンターは現場の反応を受け取りながら、経験学習のサイクルを高速で回していくことができるのです。
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経験から学ぶ力を支える3つの要素
最後に、経験学習を支える3つの要素についても簡単に紹介します。
それが、ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントです。
- ストレッチ:問題意識を持ち、挑戦的で新規性のある課題に取り組む姿勢
- リフレクション:行為を振り返り、知識やスキルとして学び直すこと
- エンジョイメント:活動のやりがいや意義を見出すこと
先ほどのらくと君のエピソードに当てはめると、学校コンサル事業は生徒の経験から学ぶ力を育てる場にもなっていることが分かります。
- ストレッチ
自分の興味関心と社会問題を掛け合わせて、学校外の人に価値を届けるという難しい課題に挑む - リフレクション
各授業や中間・最終発表でフィードバックを受ける - エンジョイメント
ワクワク感・いけそう感・前に進んでいる感を得ながら取り組む
このモデルの面白いところは、3つの要素がそれぞれ独立しているのではなく、循環している点です。
挑戦的な学びに取り組むほど、振り返りから得られる教訓は深くなり、その結果としてやりがいや意義も大きくなります。
そして、学びの面白さを感じることで、さらに次の挑戦にも踏み出しやすくなります。

学生メンターは、「実践の中で成長したい人」にひらかれた機会
学校コンサル事業における学生メンターの経験は、単に「教育現場に関われる」というだけではありません。
生徒と向き合い、試行錯誤し、振り返りながら、自分自身も成長していける実践の場です。
教育に関心がある人はもちろん、
「人と向き合う力をつけたい」
「挑戦を通して成長したい」
「机の上だけでは得られない学びがほしい」
そんな人にとって、学生メンターは大きな糧になるはずです。
実践の中で学び、成長したい方は、ぜひ学校コンサル事業に飛び込んでみてください!
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参考文献
- 松尾 睦 (2019) 『職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門』ダイヤモンド社
- Lombardo, M.M. & Eichinger, R.W. (2010) The Career Architect: Development Planner, 5th edition. Lominger International.

