高校生あつまれ!全日本未来の科学アワード2025 受賞者発表

当機構が主催する探究学習コンテスト「高校生あつまれ!全日本未来の科学アワード2025」の受賞者が決定しました!

高校あつまれ!全日本未来の科学アワード2025とは?

全国の中高生を対象に、自由で独創的な探究活動を競い合うコンテストです。奇抜な発想やユニークな視点から問いを深め、成果を発信していただきます。書類審査や録画審査を経て、未来探究パートナーズ(協賛企業)による最終審査で受賞者を決定します。

受賞者発表

厳正な審査の結果、総応募者数1,123名(応募プロジェクト総数 601) の中から各賞の受賞者に選出された方を発表します。(敬称略)

ベストテック賞

名前/チーム名西尾 煌
学校金沢大学附属高等学校
テーマ特定の生徒が損をしない割り当てへ ~公平性を記憶するアルゴリズムKARMAの開発~
概要高校のセミナー割り当てで、特定の生徒が何度も希望外になる不公平の解消を目指した探究。既存手法は計算時間が長く、過去に損をした生徒を考慮できない欠点があった 。そこで、個人の不利な履歴を記憶し、計算停滞時に良解へ戻り探索し直す新アルゴリズム「KARMA」を開発した 。実験の結果、2000人規模でも従来比5分の1の時間で、高い満足度と公平性の両立を実証した 。
株式会社セールスフォース・ジャパン様より

ベストテック賞として推薦させていただきます。評価ポイントは3つあります。

1点目が過去の研究、方法論を丁寧に調査している点です。本発表は基礎研究や論文発表に類似した性質を持っており、新規性や有用性を明確に示すことが重要となります。その点で本発表はそれらを十分に示す調査と整理をされていました。

2点目が高い信頼性を多面的に表現されている点です。先行研究や手法の提示、アルゴリズム自体が公平性をより担保するための問いから始まっていること、発表が客観的かつ論理的な構成になっていることなどです。

3点目が社会的影響の大きさです。学校の中での課題というスタートラインでしたが結論として提示された手法は社会の様々な場所で利用が可能なものとなっていました。世の中では良い問いが良いアウトプットを生み出すといいますが本プロジェクトは問いを超えてより大きなものを解決可能であることを示しており、内容について追加での評価をさせていただきました。一方で課題としては独自性等を考えた場合には類似論文がすでにあるため研究としての昇華をさせる場合はさらなる調査や比較が必要と考えられます。

グローバルサイエンス賞

名前/チーム名蒲原詩織
学校作新学院高等学校
テーマ誰もが使える土の知識へ
概要AIを用いた持続可能な農業支援システムの探究 。途上国等の「知識アクセス格差」を課題とし、スマホで土壌を撮影するだけで最適な施肥量を助言するAIを開発した 。インドを事例とした検証では、肥料使用量を約23%削減しつつ収量を向上させ、窒素流出も抑制できることを実証 。AIが専門知識の「翻訳者」として農家の科学的判断を支える有効性を示す 。
株式会社ベネッセコーポレーション RouteH RouteG様より

課題の規模感、適応と実現可能性を考慮した研究となっており、日本だけではなく、世界における社会的な影響力を考慮し、グローバルサイエンス賞に選出させていただきました。

課題定義においても、土壌の劣化問題のみではなく、その解決までに至るプロセスにおいても様々な社会課題を考慮し、AIの活用をかけ合わせていると理解でき、この研究は将来的にはより多くの国に対する汎用的な課題解決手段として評価できるとしたため。

ユニークなターゲット市場賞

名前/チーム名笹生 晶
学校都立両国高等学校
テーマコンテンツツーリズムを成功させ、持続性を高めていくために必要なこととは何か
概要アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台である静岡県沼津市を事例とした、コンテンツツーリズムの持続性に関する探究 。一過性のブームに終わらせず成功を持続させる要因として、行政が前面に出すぎず広報やマナー啓発等の後方支援に徹し、民間業者や地域住民が主体的に関わる環境を整備することの重要性を指摘している 。さらに、コンテンツを入り口としつつ、地域独自の歴史や食文化の魅力を伝えることでリピーターを獲得し、自治体・ファン・権利者の三位一体の協力体制を維持することが不可欠であると結論付けている 。
株式会社Armory様より

自身の「好き」な作品を起点に、沼津市役所へ直接取材をするという一次情報収集まで踏み込んだ行動力が素晴らしいと感じました。そして、行政の後方支援と地域住民の主体性という「持続可能な三位一体」の仕組みは、地方創生やイベント企画をする上で持続的なものにするためには欠かせない視点です。

今後の展望として挙げられていた他事例との比較 に加え、全く異なる条件の地域(例えば観光資源の少ない地域やアクセスの悪い地域など)でこの手法がどう応用できるかを検証すると、研究の汎用性がより高まると思います。素晴らしい探究でした!

科学プロセス探究賞

名前/チーム名抱井 玲奈
学校桐蔭学園中等教育学校
テーマわら単 SONG PROJECT
概要AIで英単語を楽しく覚える「わら単 SONG PROJECT」の探究である 。暗記の苦行を「楽しい体験」に変えるため、ダジャレと音楽、イラストを組み合わせたマルチモーダル学習を提唱した 。実証実験では、学習直後の正答率が従来比で約35%向上し、48時間後も9割以上の高い定着率を記録した 。現在は、AIによる動画生成アプリの開発を進めている 。
株式会社工房X様より

自身の「暗記への苦手意識」という切実な課題に対し、マルチモーダル学習という科学的根拠に基づいた解決策を提示し、さらにAI実装まで繋げた構想力にあります。単なるダジャレ暗記に留まらず、音楽と感情を同期させることで記憶保持率92.3%という驚異的な実証データ を導き出した点は、教育工学的にも極めて価値が高いものです。また、制作プロセスにおいて「AIは魔法ではなく、問いを立てる人間が重要である」という本質に自ら気づき 、プロのUI設計者から「続けたくなる体験」の重要性を吸収している点 は、サービス開発者として非常に高い素養を感じさせます。「覚える」を「残る」へ変えるという思想 は、次世代の学習プラットフォームが目指すべき指針です。英単語から全学習分野への拡張、そしてアプリの社会実装という、学びの未来を実装する挑戦を心から支援します。

地元ヒーロー賞

名前/チーム名吉田茉紗
学校都立千早高等学校
テーマ子ども食堂支援活動(おむすびネット)
概要当初は廃棄野菜の活用を計画したが、現場訪問を通じて「米」への切実なニーズを把握し、米農家と食堂を繋ぐ活動へ転換した 。SNSや手紙で農家へ感謝を届ける仕組みや、PayPayを活用した簡易募金の導入を構想している 。想像だけでなく、実際に足を運び行動する重要性を学び、今後も支援の輪を広げていく 。
株式会社Specialist Entertainment様より

本プロジェクトの最大の価値は、当初の「廃棄野菜活用」という仮定に縛られず、自ら現場へ足を運び「お米」という真のニーズを掘り起こした「現場主義」にあります 。既存の支援と重複しない領域を特定し、速やかに「おむすびネット」へと方向転換した判断力は、ビジネスシーンにおいても極めて重要です 。また、SNSや手紙を通じて農家へ感謝を可視化する仕組みは、関係性の持続を担保する優れた設計です 。加えて、PayPay等のQRコードを用いた簡易募金のアイデアは、寄付の心理的・物理的ハードルを下げる非常に現代的かつ実効性の高いアプローチであると高く評価します 。今後は、協力農家との対話を重ね、この一歩ずつ前進する支援の輪がより広がることを期待しています 。行動することの難しさを理解した上での「積極的に動きたい」という決意は、社会を変える大きな原動力となるはずです 。

グッド・ライフ・デザイン賞

名前/チーム名長田 朱永
学校金沢大学附属高等学校
テーマ数学を利用した災害時の断水対策 ~ここ掘れワンワンで“well”-being ~
概要数学を用いた災害時の断水対策と井戸の最適配置に関する探究 。能登半島地震を機に、金沢市内の協力井戸を可視化したところ、人口に対して井戸が不足する地域が判明した 。そこで人口密度と距離に基づく数理モデルを構築し、プログラミングを用いて、より多くの住民が効率的に給水を受けられる新設場所の最適解を算出した 。地盤沈下への影響や融雪設備との比較も検証し、実運用可能な提言を目指している 。
一般社団法人ユースキャリア教育機構 研究所様より
オープンデータをもとに、見過ごされがちなクリティカルな社会課題を発見したリサーチ力に驚かされました。さらに、実地調査や所有者へのインタビューなど、現場に足を運んだ丁寧な調査も非常に評価できます。往還寺の住職へのインタビュー動画をプレゼンに組み込むことで、課題のリアリティが強く伝わってきました。

また、アイデアを政策提言にまで落とし込み、一度却下されても再調査を行い再提言を目指す推進力にも感銘を受けました。研究における課題設定の精緻さや海外事例との比較、井戸の最適配置のシミュレーションなど、全体を通して非常に高い研究水準が感じられました。

落ち着いた語り口の一方で、データと現場を往復するハードなプロセスを楽しんでいる姿勢にも魅力があり、探究に対する強い没入感が印象的でした。

未来スポーツ産業デザイン賞

名前/チーム名岩田 雄紀
学校東京都立日野台高等学校
テーマプロ野球のバットが折れやすくなっている原因について
概要プロ野球でバットが折れやすくなっている原因の探究。近年、折れた破片で選手やコーチが負傷する事案が相次いでいることに危機感を抱き、ドラムスティックを用いた模擬実験を行った 。実験の結果、衝撃が強いほど、また質量が軽いほど反動(衝撃)が大きくなることを確認した 。これは球速増加やバットの軽量化が折損に関与するという仮説を裏付けている 。今後は材質や変化球の影響も踏まえ、安全なプレー環境の実現を目指す。
株式会社準弥(横浜FC 鈴木準弥)様より

プロ野球でのバット折損という、選手の選手生命に直結する「現場の危機」に真っ向から向き合った素晴らしい研究ですね。僕たちアスリートにとっても、怪我は一瞬でキャリアを狂わせる恐ろしいものです。そこに問題意識を持ち、自ら動いて原因を探ろうとする姿勢には、同じ勝負の世界に身を置く者として強く胸を打たれました 。誰もが怪我を恐れず、100%の力でプレーできる環境作りのために、これからもその鋭い視点を大切に突き進んでください。応援しています!