一般社団法人ユースキャリア教育機構・研究員の井上寛人です。
2月に入り、大学生の方々は春休みに突入している頃でしょうか。
僕には大学2年生の妹がいるのですが、「レポート終わった!今から春休みになった!」と嬉しそうでした笑
大学の長期休みって長いじゃないですか。あと自由!
その反面、どう過ごすかちょっと悩みません?
これを読んでくださっているあなたは、きっと自己実現を目指している方なのではないでしょうか。
その一方で、「何者かにならなくては圧」にさらされ、少なからず不安感を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、誰よりも自己実現に突き進む、
でも親しみの持てる大学2年生のお二人へのインタビューの模様ををお届けします。
この記事が自己実現を目指すあなたの背中を押す、ちょっぴり刺激的なガイドになれたら幸いです!
やりたいことを見つけた先輩たちへのインタビュー
国立にある遊び心のあるシェアハウスで行われた今回のインタビュー。
登場するのは、学生デザイナー支援事業での挫折を経て
「複利で人を育てる教育者の輩出」を掲げる大学2年生の出浦 梨玖(でうら りく)さん。
そして、幼少期から続けてきたピアノと社会貢献を掛け合わせ、
「その人らしさで輝くきっかけ」を創る同じく2年生の竹内 美月(たけうち みづき)さんです。
聞き手は、同じくユースキャリアで活動する大学1年生の小坂 桔平(きっぺい)と坂本 ひかり(しいちゃん)が務めます。

「やりたいこと」を探す試行錯誤の日々
きっぺい: 本日はよろしくお願いします!
まずはお二人が、ユースキャリアに入る前、どんな日々を過ごしていたのか、教えてください。
出浦(以下、でうりく): よろしくお願いします。
僕はもともと「やりたいことはないけれど、何かに挑戦したい」という漠然とした焦りを抱えた学生でした。
実は、父が大学院を中退して就職し、自分の好きなことを仕事にできず悩んでいた姿を間近で見て育ったんです。
父からはずっと「お前は好きな人と、好きな仕事ができるようになれ」と言われてきました。
でも、肝心の「やりたいこと」が見つからないまま僕は大学生になってしまったんです。

しいちゃん: お父様との約束が、どこかでプレッシャーにもなっていたんですね。
そこからどうしてビジネスの世界へ?
でうりく: 大学に入って、同世代で「起業したい!」「こんな社会課題を解決したい!」と
熱く語る人たちに出会い、強烈に感化されたのが大きいです。
でも、当時の自分はただ圧倒されるだけで。
そんな時に「ビジネスを志すならそれを教われる場と仲間がいるコミュニティに所属すべき」
という助言を受け、ユースキャリアの門を叩きました。
「BizCamp」という関連イベントへの参加も大きなきっかけでした。
理想を大きく広げた直後に、それを叶えるための現実的な「経営能力」を徹底的に学べる教育フローに、
「ユースキャリアでなら本気で自分を変えられる」と確信しました。
竹内: 私も本当に自分がやりたいことが、分からなくて。
何なら直近何をしたいのかとか、何やったらいいのかも分からないということに、すごく悩んでいました。
3歳からピアノを習い続けていて、
音楽に関わる仕事をしたいと思ってはいたのですが、
その選択肢は限られていて…
ピアニストになる、ピアノの先生になる、音楽の先生になる、
その3つくらいしか選択肢がない。
でも、子どもが好きだし、社会貢献にも興味があって、それと音楽を掛け合わせたいんだけど、
どうしたらいいか分からなくなってしまったんです。

きっぺい: それで大学は音楽の専門ではなく、総合大学を選んだんですか?
竹内: はい。青山学院で国際政治経済を学びながら、
東京音大のカレッジディプロマコースにも通うダブルスクールをしていました。
「音楽で社会問題を解決したい」という夢を形にしたかった。
でも、大学生活を2ヶ月ほど過ごすうちに、その両立の先が見えなくなってしまいました。
「このままじゃその道は見つからない」と、学外の活動を探し始めました。
老人ホームでのボランティア、日米協会への参加、音楽療法士の探求など
いろんな場所に足を運んだ先で、ユースキャリアに出会いました。
失敗から学んだ「1人では限界がある」という気づき
でうりく: そうですね。
僕は「学生クリエイターが自分のスキルで独立できる仕組みを作りたい」と考え、キャリア支援事業を立ち上げました。
やりたいことがない人がいっぱいいて。自分もそのうちの1人だったんです。
で、そういう人たちを支援できる活動がしたいなと思って。
30名ほどの学生デザイナーを集めて案件を仲介したんです。でも、結果は惨敗でした。
自分のビジネス能力が低すぎて利益が出ない。デザイナーに正当な対価を支払えず、逆に苦しめてしまう。
さらに、当時所属していたコミュニティも運営が引き継がれず組織崩壊。
「自分1人で戦い続けるには限界がある」。
組織を継続させる難しさを同時に突きつけられた時期でした。

でも、そこで人生が変わる出会いが起こります。シェアハウスに住んでいた社会人の先輩の存在です。
「なぜその事業をやっているのか?」「でうりくが本当に望む人生は何?」と問われ、事業を一旦畳む決断をしました。
そのとき、自分の気持ちを再認識したんです。
やっぱり僕は「人の人生に影響を与える存在」になりたいんじゃないかって。
しいちゃん: ありがとうございます。
竹内さんのその後のストーリーもお聞きしていいですか?
竹内: 私も同じ時期に試行錯誤を続けていました。
当時携わっていた国際協力ツアー事業のプレイベントを国内で企画したときのことです。
形にはなってるし、参加した大学生からもよかったって言ってもらえたんだけど、
自分が本当にこういう価値を作りたいのか分からなくなってしまったんです。
きっぺい: その「もやもや」から、どうやって抜け出したんですか?
竹内:とにかく社会課題の現場にたくさん行くことにしました。
ホームレスの方への訪問、トー横に行ってみたり、子ども食堂でお手伝い…
その中でも、大学1年の夏にフィリピンのスラムに行った経験がターニングポイントになりました。
マニラで仲良くなった女の子、レリアちゃんの家が火災で焼け落ち、
「ドアを買うお金がないから、夜は犯罪が怖くて眠れない」と涙ながらに打ち明けられたんです。
自分にとって大切な子がそんなに苦しんでいるのに、
当時の私は何もできず、ただ無力感を突きつけられて帰国するしかなかった。
それとは別に、私は根本的なモヤモヤを感じていました。
いろいろ試しているけど、何か違う。
そこで気づいたのが、「自分が大事にしたいものを切り捨ててしまっていた」ことだったんです。
長年やってきた「ピアノを活かして価値を届けたい」っていう想いがあったのに、それを切ってしまってた。
この2つの気持ちから自分のやりたいことに気がつきました。
「この子たちのために、私のピアノを価値に変えたい」
大1の終わりにそう思い立った翌日に、電子ピアノを担いでセブ島へ飛びました。
ピアノを弾き始めたら、ストリートチルドレンの子たちが集まってくれて。
みんなすごくフレンドリーで、一緒に手拍子してくれたり、歌ってくれたり。
あの笑顔を見た瞬間、「やっぱり音楽は力になれる」と心の底から思えたんです!
自分は音楽を通してその価値を届けたいんだ。
それで価値を届けられたら、自分はすごく幸せだなって。

「複利」で人を育てる。でうりくさんの挑戦
でうりく: はい、馬上さんという方と共に「Generalist(ジェネラリスト)」を立ち上げました。
ここは、夢はあるけれど走り方が分からずに離脱しそうな、
かつての僕のような「生き急いでいる若者」のための場所です。
個人個人が自分のペースで挑戦しながらも、そこで得た学びや経験を後輩に伝えていく「複利的な教育モデル」を目指しました。

きっぺい: 「複利の教育」という言葉も印象的です。
でうりく: ありがとうございます。
僕の自己理念は「複利で人を育てる教育者を輩出する」ことです。
自分が育てた人が、また誰かを育てる。
その連鎖が止まらない状態をつくることが、僕の本当の仕事だと思っています。
そのためにトライ&エラーを重ねながら、毎週異なるコンテンツを提供したり、ワークショップを開いたり、
コミュニティに来るメンバーたちが納得できる環境を作ることに注力してきました。
その過程で、僕自身が「人の人生に影響を与える存在」に少しずつなれている実感があります。
自分がやりたいことを進められている今がとても楽しいです!

その人らしさで輝くきっかけを作る。美月さんのリーダー像
しいちゃん: 竹内さんは、セブ島から帰国してから心境の変化はありましたか?
竹内: 彼らの生活を根本から救うには、自分に「経営力」や「実行力」といった「強さ」が必要だと再認識しました。
音楽のおかげでその場では笑顔になってくれたかもしれない。でも、その楽しさって、一瞬でしかなくて。
なのでもう一度、経営力を高めるために、前から関わっていた「セブ島スタディツアー事業」に力を入れることにしました。
しいちゃん: セブ島スタディツアー!どんな方が参加されるんですか?
竹内: 主に、やりたいことを見つけたい学生の参加者が多いです!
「社会とか人のために何か役に立ちたいけど、どうやって動いたらいいのか分からない。」
「海外に行ってみたい。でも、勇気がなくて、一歩踏み出せない」という方たちが対象でした。
ターゲットに合わせて、ツアーでは4つの異なる団体を訪問するように設計しました。
1つにしか訪問しないってなったら、そこの活動しか知れないし、その人たちの哲学と考え方しか知ることができない。
それってすごく偏っちゃうよなって思って。
いろいろな体験をすることで、いいなって思える考え方を参加者自身で見つけられるようにしたかったんです。

きっぺい: ツアー事業を経て、今はどのようなことをされているんですか?
竹内: セブ島ツアーの参加者のひとりに「次はタイでツアーをやりたい」と動き出してくれた方がいました。
今の私のやりがいは、そんな後輩たちが「やりたいことを自分で選び、その人らしく輝ける環境」を作ることです。
個人としても、昔からやってきた「音楽」と今学んでいる「経営」を掛け合わせて、社会貢献事業を進められるように頑張っていきます!

大学1年生の春休み、どうしてた?
しいちゃん: 私たちは今「大学1年生の春休み期間」なのですが、お二人は大学1年生の春休みをどう過ごされていましたか?
でうりく: 実は、去年の春休みはどん底の時期で….。
学生クリエイターのキャリア支援事業を畳んで、今後どう生きるかを見つめ直していたんです。
それで毎日「記録」をつけていました。
「自分はどんなことに楽しさを感じるのか?」
「どんなことなら夢中でやり続けられるのか?」
「逆に何が楽しくないのか?」
それを整理をしていく中で分かってきたのは、
1人で作業をしたり、学生デザイナーに関心のある社長に頑張って営業をしているときなどは
結構しんどかったなということでした。
逆に、仲間たちと同じ目標に向かっているとき、
関わっているデザイナーの子のキャリアを一緒に考えているときは、あっという間に結構時間が過ぎてて。
「その人の人生に直接価値を与える」っていうところに、自分はすごいやりがいを持てるんだなって気づいたんです。
あの徹底的な自己理解の時間が確実に、今の自分の生き方につながっています。

竹内: 私は去年の春休み、社会課題の現場に行くことと、内省をすることを繰り返していました。
やりたいこととか誰に何を届けたいのを、1年生の3月までには明確に見つけたいなって思ってて。
ホームレスの方に話しかけに行ったり、トー横に行ってみたりもしました。
現場に行くだけじゃなく、
価値を提供する「生産者側」として何をやっている時が楽しいのか?という視点でも自分を整理していきました。
「作る側として、これをやってる時が楽しい、これは楽しくない」っていう視点で自分を見つめ直してみたんです。
そういう自分の中でのやりたいことの整理をするためにも、
ターゲットに対して「価値を届ける場数を踏むこと」がすごく大事なんじゃないかなと思っています。
メッセージ:「仮決め」で動き出す勇気
きっぺい: 最後に、この記事を読んでくださっている同世代の仲間へメッセージをお願いします。

でうりく: ぜひ「納得感」のあるキャリアを選んでほしいです。
最初から正解を探すのではなく、まずは目標を「仮決め」して、全力でバットを振ってみる。
失敗しても、それは自分がやりたいことを知るための最高のデータになります。
それを繰り返すことで志の高い仲間たちとも出会うことができると思います!
竹内: 私は「コンフォートゾーン(居心地の良い場所)を出た先には、見たことのない景色が広がっている」という言葉を贈りたいです。
私も勇気を出してスラムに飛び込んだことで、ピアノを使った私なりの価値の届け方を見つけました。
走りながらブラッシュアップしていけばいいんだと思います。
ユースキャリアには、その挑戦を支えてくれる仲間と先輩がいます!
しいちゃん: 先輩たちも、やっぱり試行錯誤をたくさんされてきたんですね。
お話を聞いて、やりたいことを見つけるには、仮決めでもいいからまずは動いてみることの大切さを学びました。
お二人とも、今日は本当にありがとうございました!
編集後記(井上)
振り返ってみると私が竹内さんとでうりくくんに初めてお会いしたのは、去年の今頃。
インタビューを終えた後、私が思ったことは「2人とも明確に雰囲気が変わった・・!」でした。
竹内さんは元来の優しい雰囲気に「強さ」が合わさって、凛とした品のあるリーダーになっていました。
「この人のことは雑に扱ってはならない」「最後までお話を大切に聞きたい」
と人に思わせる透明な膜のようなものがあって。
でうりくくんとは、好きなアーティストが同じで時々お話しをしていて、「いい人だなぁ〜」という印象でした。
今はリーダーとしての覚悟が決まってより覇気が増した雰囲気に!振る舞いや話し方が堂々としていて、超かっこよかったです。

お二人の背景にあった様々な挑戦のストーリーを知るとその変化の理由に腹落ちします。
人が先天的に持っている素敵な個性に、後天的努力で身につけたスキルが掛け合わさると、
こんなにも魅力的なリーダーになれるんだなと大きな勇気をもらいました。
長くて自由で、どう過ごすかはあなた次第の春休み。
やりたいことは仮決めでも、
自分の意思で動いて、内省して、やりたいことをブラッシュアップしていく過程は、
どう転んでも1年後のあなたの魅力になってくれるはずです。
少し生き急いでるくらいがちょうどいい。
あなたらしさが開花する晴れやかな春になりますように!
(取材:小坂 桔平、坂本 ひかり/ お話:出浦 梨玖、竹内 美月 / 写真:大嶋凌平 / 文・井上寛人)

