地域活性化起業人に就任した山本賢治さんが語る「地域×若者」の新たな挑戦【ふるさと住民応援コンソーシアム オンライン座談会】

2026年4月8日、「ふるさと住民応援コンソーシアム オンライン座談会」がオンラインにて開催されました。

今回のゲストは、この春(4月1日)から山梨県甲州市に「地域活性化起業人(企業派遣型)」として赴任したばかりの、当機構社員・山本賢治さんです。

ファシリテーターは、当機構の副代表理事である高瀬信軌が務め、MCとしてコンソーシアム代表の鳥海彩氏も交えた活発なトークセッションが行われました。

本記事では、山本さんが地域ビジネスに関わるようになった経緯や、赴任直後の甲州市でのリアルな所感、そして「ふるさと住民登録制度」を活用した今後のミッションについて語られた、座談会のハイライトをインタビュー形式でお届けします。

登壇者プロフィール

ゲスト:山本 賢治(やまもと けんじ)

1998年札幌市出身。デザイン関係の専門学校を卒業後、インテリア家具の会社に勤務。

2018年の北海道胆振東部地震での経験を機に退職して旅に出た結果、2019年に北海道森町へ地域おこし協力隊として移住。地域づくりに携わり法人も設立。

2026年より一般社団法人ユースキャリア教育機構に従事し、現在は山梨県甲州市の地域活性化起業人として活動中。

ファシリテーター:高瀬 信軌(たかせ まさき)

一般社団法人ユースキャリア教育機構 副代表理事 / 株式会社工房X 代表取締役

MC:鳥海 彩(とりうみ あや)

ふるさと住民応援コンソーシアム 代表 / 楽天グループ株式会社 地方創生事業

偶然の出会いが人生を変えた。旅先から始まった地域おこし協力隊への道

高瀬(ファシリテーター):今日は山本さんのこれまでの経緯や、赴任したばかりの甲州市での様子を深掘りしていきたいと思います。まず、山本さんが最初に地域に関わるようになったきっかけは何だったんでしょうか?

山本(ゲスト):もともとは札幌でインテリアの会社に勤めていたんですが、2018年の北海道胆振東部地震によるブラックアウト(大規模停電)を経験したことが大きな転機でした。

インフラが止まり、ただ仕事に行って帰って寝るだけの当たり前の生活ができなくなった2日間で、「もし仕事がなかったら自分はどう暮らすんだろう」と疑問を持ちました。そこから地方の現状にも興味が湧き、退職して地域を巡る旅に出たんです。

高瀬:そこからどうやって「地域おこし協力隊」に繋がったんですか?

山本:旅の途中で早々に資金が尽きてしまいまして(笑)。函館近郊で地元の方に「手伝いをするから泊めてくれませんか」とお願いしたところ、家具工房として貸し出し始めた石蔵を貸していただきました。

段ボールを敷いて寝泊まりし、お手伝いをしてご飯をいただく生活をしていたら、その様子を見た役場の方が「仕事を紹介してあげる」と持ってきてくれたのが、森町の「地域おこし協力隊」の募集でした。完全に偶然の出会いから始まったんです。

協力隊で学んだ「行政と歩み寄る」姿勢と泥臭い苦労

高瀬:森町での3年間の協力隊時代は、どんな経験になりましたか?

山本:「協力隊」という肩書きがあることで、地域の方々や行政、事業者さんとのコミュニケーションの壁がすっとなくなるのは大きなメリットでした。

ただ、一方で泥臭い苦労や難しさも痛感しました。行政の予算を使いながら公益性を保ち、自分のやりたい活動を繋げていくという部分です。

高瀬:具体的にどういったところに壁を感じたのでしょうか?

山本:例えば、自分が良い企画だと思っても、行政としての予算の使い方や公共性のルールと噛み合わないと、予算が使えずに活動がストップしてしまうこともありました。協力隊は行政職員でも民間企業の社員でもない中間的な存在です。

プレイヤー自身もしっかりと行政の仕組みを勉強しなければならないし、自治体側もプレイヤーに寄り添っていく必要がある。両者が歩み寄らなければ、地域に何かを残すことは難しいと深く学びました。

ユースキャリアとの出会い、そして「企業人」への道

高瀬:その後ご自身でも法人を立ち上げて活動されていましたが、当機構(ユースキャリア教育機構)とはどういった繋がりから今に至るのでしょうか?

山本:協力隊退任後、北海道で協力隊を支援する会社を立ち上げて活動する中で、ユースキャリアさんとも繋がりができました。実際に北海道と東京を繋ぐようなプロジェクトを一緒にやらせていただいたんですよね。

ただ、ずっと同じ地域に根付いて活動していると、停滞感というか「新しい挑戦が減ってきているな」と感じることもありました。もっと広い視点でプロジェクト全体を動かす「企業人」のノウハウが必要だと強く感じていたんです。

高瀬:そんな時に私からお声がけして、「地域活性化起業人」として甲州市へ行くことを即決いただきました。

山本:はい! 一緒にプロジェクトを進める中で、ユースキャリアさんのスピード感やサポート体制の心強さは実感していましたから、自分の幅を広げる大きなチャンスだと思って迷いはありませんでした。

鳥海(コンソーシアム代表):ここで企業側の視点も補足させてください。これまでの地域活性化起業人は、自治体の人手不足を補う「役務型の労働力」として扱われてしまうケースも少なくありませんでした。

しかし今回は全く異なります。甲州市は「ふるさと住民登録制度を活用し、関係人口のKPIを達成する」という明確な目的を持って山本さんを受け入れています。何でも屋ではなく、ミッション特化型として迎え入れてくれたことが非常に重要です。

高瀬:我々としても、自社のエースを戦力として送り出している感覚です。企業側の事業の種と、地域側のKPIが見事に合致した結果だと感じています。

赴任初日から専門家として走る!まちを歩き、自律的にアイデアを生み出す環境

高瀬:4月1日に甲州市へ赴任して1週間が経ちましたが、実際の所感や、赴任前とのギャップはありますか?

山本:まずは環境が素晴らしいですね。南アルプスや富士山などの高い山に囲まれた盆地の中で、豊かな自然と温かい人たちに迎えられてとても心地よいです。

ただ、北海道とは違う「盆地ならではの激しい寒暖差(夜の寒さ)」には衝撃を受けましたが(笑)。でも、だからこそ美味しい果物が育つんだなと実感しています。

高瀬:働き方の部分ではどうですか?

山本:良い意味で「圧倒的な働きやすさと余白時間」に驚いています。KPIが明確な分、自治体からの指示でギチギチのスケジュールを想像していましたが、実際は我々外部の視点を使ってブラッシュアップすることが求められています。

高瀬:その「余白時間」はどう活用されているんでしょうか?

山本:ただデスクに座っているだけでなく、自分の裁量で地域のリサーチや調査に時間を使えています。休日の時間や空き時間を使って、実際にまちを歩いてみたり、事業者さんの現場の空気を感じたり。

そういったインプットが自由にできるのは、非常にクリエイティビティを発揮しやすい環境です。

鳥海:このスムーズな立ち上がりの裏には、当機構が1月〜3月にかけて実施した「事前研修」がありますよね。赴任前からふるさと住民登録制度の事業化プランなどを実務として実践してきたからこそ、赴任初日から専門家として、余白を活かして走り出せているんだと思います。

「最善の一手」としての企業人制度。関係人口創出という次なるミッションへ

高瀬:今後の具体的なミッションについて教えてください。協力隊でのご経験も踏まえて、今回は起業人としてどのようなことに挑戦していきたいですか?

山本:協力隊として現場の最前線でプレイヤーとして動いた経験は、本当にかけがえのない素晴らしいものでした。ただ、今回は起業人としてさらに広い視点を持ち、より大きなプロジェクトを動かす経験がしたいと考えています。

その最大のミッションが、地域活性化のハブとなる「地域公社」を早期(6月目標)に設立することです。

すでに過去のふるさと納税の寄付額データを洗い出しており、今後は寄付額に伸び悩んでいる事業者さんや農家さんを訪問してヒアリングを行います。そこから、ふるさと住民登録制度を活用した関係人口の巻き込み方を提案していく予定です。

高瀬:最後に、これから地域に関わりたいと考えている方へメッセージをお願いします。

山本:民間企業で培ってきたスキルを公共のフィールドと掛け合わせることで、できることの幅は想像以上に広がります。

企業人という制度は、期限が決まっているからこそスピーディーに挑戦でき、自分自身のキャリアアップにおいても非常に有効で最善の一手です。

もし迷っている方がいたら、絶対に挑戦したほうがいいと強くおすすめします!

一般社団法人ユースキャリア教育機構について

当機構では、累計1,000名以上が所属する日本最大のU29コミュニティを運営し、若者のキャリア教育を通じた地域課題解決に取り組んでいます。意欲ある若者を地域に送り込む「地域活性化起業人/関係人口創出プロジェクト」など、地域活性の「担い手」育成事業を展開中です。

本記事のような企業人派遣の枠組みにご関心のある自治体様、企業様は、ぜひお気軽に当機構HPよりお問い合わせください。打ち合わせ等のご相談も大歓迎です!

また、地域活性化に何かしら関わってみたい、大学生・高校生の方も募集しております。
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